# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.52 棋譜ファイル --- 対局ID:0 記録ID: 開始日時:2020/09/22 13:30 終了日時:2020/09/22 14:21 棋戦:第2回卯月カップ 持ち時間:0時間15分 消費時間:124▲15△15 場所:クレオ大阪中央 計時方式:チェスクロック 秒読み:30秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 手合割:平手   先手:渡部愛女流三段 後手:室田伊緒女流二段 手数----指手---------消費時間-- *第2回卯月カップ(第74回1dayトーナメント)準決勝より、渡部愛女流三段と室田伊緒女流二段の一戦をお送りする。 *対局は、大阪府大阪市「クレオ大阪中央」で、9月22日(火・祝)13時30分開始。持ち時間は各15分(チェスクロック使用)で、使いきると1手30秒未満の秒読み。 *振り駒の結果、歩が4枚で、先手は渡部に決まった。 * *(棋譜・コメント入力=夏芽) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *◆渡部 愛(わたなべ まな)女流三段◆ *1993年6月26日生まれ、北海道帯広市出身。2013年、女流3級。2018年、女流三段。LPSA番号19。 *タイトル戦登場は2回。獲得は女流王位1期。棋戦優勝は2回。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *◆室田 伊緒(むろた いお)女流二段◆ *1989年5月24日生まれ、愛知県春日井市出身。杉本昌隆八段門下。2005年、女流2級。2014年、女流二段。女流棋士番号は35。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *1dayトーナメントは、日本女子プロ将棋協会が主催する1日指し切り制のトーナメント。2007年の協会創設時から続く、独自の棋戦である。 *第74回に当たる今回の卯月カップ(大庭一茂特別協賛、左海醤油工業株式会社協賛)は、5年ぶり2度目の大阪開催。前回は渡部が優勝した。 4 4二飛(82) ( 0:00/00:00:00) *本局、室田の作戦は四間飛車。 5 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) 6 6二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *準決勝からは日本女子プロ将棋協会 のYouTubeチャンネルで、久保利明九段の解説動画がストリーミング配信されている。 * *【LPSA日本女子プロ将棋協会 - YouTube】 *https://www.youtube.com/channel/UCQbYKHV2ejoxs96h9DxLuug 7 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00) 8 7二玉(62) ( 0:00/00:00:00) 9 7八玉(68) ( 0:00/00:00:00) *渡部は、1dayトーナメントで最多13回の優勝を誇る。 *初優勝は第27回(2009年)のシュヴァリエカップ。当時は16歳で、ツアー女子プロの肩書だった。 10 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *室田は、今回がLPSA棋戦への初出場。 *1回戦では鹿野圭生女流二段との相振り飛車戦を制した。 11 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) 12 8二玉(72) ( 0:00/00:00:00) 13 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) *両者の女流公式戦での対戦成績は、渡部の2戦2勝。 14 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 15 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) 16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) 17 同 角成(88) ( 0:00/00:00:00) *渡部は1分ほど消費し、▲3三同角成と交換した。 18 同 桂(21) ( 0:00/00:00:00) 19 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) 20 2二飛(42) ( 0:00/00:00:00) *「後手は1手損するのですが、向かい飛車にして、場合によっては△2五桂▲同飛△2四歩のような順で逆襲する筋があります。先手は手得していますので、それを生かした戦い方にしたいですね」(久保九段) 21 8八玉(78) ( 0:00/00:00:00) 22 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *今大会は椅子に座って対局。ふたりともテーブルの上には、外した腕時計を置いている。 23 7八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *渡部は左美濃を完成させた。 24 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) 25 7七桂(89) ( 0:00/00:00:00) 26 5三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *「室田さんは振り飛車党で、この形は結構指しているイメージがありますね。渡部さんも相当詳しく研究しているのではないでしょうか。解説はしやすいですね」(久保九段) 27 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) 28 2一飛(22) ( 0:00/00:00:00) *対局室の冷房が効いてきたか、室田は△2一飛を指したあと、置いてあったカーディガンを羽織り直した。 29 6七金(58) ( 5:00/00:05:00) *先手は高美濃囲いが完成。 30 6四歩(63) ( 2:00/00:02:00) 31 3六歩(37) ( 0:00/00:05:00) 32 4二金(41) ( 0:00/00:02:00) *「普通は代えて△5二金左ですが、この場合は▲3二角と打たれてしまいます。△3二金だと5三の銀と離れてしまうので、間を取って△4二金が多い指し方ですね」(久保九段) 33 3七銀(48) ( 0:00/00:05:00) *「代えて▲5七銀でも、▲4六歩〜▲4七銀でもなかったですね。ただ、先手は▲3七銀と上がりましたけど、次に棒銀(▲2六銀)を目指すわけではなくて、▲4六銀と上がるつもりだと思います」(久保九段) 34 4四銀(53) ( 0:00/00:02:00) 35 4六銀(37) ( 0:00/00:05:00) *4筋で2枚の銀が向かい合う。 36 6三銀(72) ( 0:00/00:02:00) *「△6三銀は形としては弱くなりますが、バランス型ですね。現局面は、振り飛車党なら振り飛車を持ちたいですし、居飛車党は居飛車を持ちたいでしょうね」(久保九段) 37 8六歩(87) ( 0:00/00:05:00) 38 7四歩(73) ( 0:00/00:02:00) 39 8七銀(78) ( 2:00/00:07:00) 40 7二金(61) ( 1:00/00:03:00) *後手は「木村美濃」と呼ばれる囲い。 41 7八金(69) ( 0:00/00:07:00) *渡部は少考を重ねながら銀冠に組み上げた。 42 8四歩(83) ( 0:00/00:03:00) *一方、室田は指し慣れている形なのか、一手一手の決断が早い。 43 1六歩(17) ( 0:00/00:07:00) 44 7三桂(81) ( 0:00/00:03:00) *「代えて△1四歩だと▲1五歩が利くかどうかがポイントになりますね。先手は1歩あると▲3五歩△同歩▲3四歩とか、▲2四歩△同歩▲2二歩△同飛▲3一角のような筋があるので。振り飛車は、それが嫌なら△1四歩と突かないことが多いです」(久保九段) 45 1五歩(16) ( 0:00/00:07:00) *渡部が▲1五歩と伸ばし、いよいよ開戦の時期は近いか。 46 3二金(42) ( 0:00/00:03:00) *「▲1四歩の仕掛けを警戒して、先に△3二金と寄りましたね。攻められる1手前に受けておくところが、手慣れている感じがします。室田さんは、うまく待っている感じがしますね」(久保九段) 47 5七角打 ( 0:00/00:07:00) *13時45分、渡部の方針が定まったか、▲5七角と自陣に据えた。 *そして着手後、腕組みをしながら、軽く首を回して体の緊張をほぐす。 48 6二角打 ( 0:00/00:03:00) *自陣角には自陣角で対抗。 * *※局後の感想※ *「こちらは玉形が薄いので、千日手狙いで」(室田) 49 4八角(57) ( 4:00/00:11:00) *「▲5七角〜▲4八角は、すごい渋い順ですね」(久保九段) 50 4二金(32) ( 2:00/00:05:00) *「先手が角を手放したので、今度は△5二金と寄りやすいですね。指しながら自玉を堅くしていくのが振り飛車の技です」(久保九段) 51 6五歩(66) ( 0:00/00:11:00) *▲6五歩に△同歩なら▲7五歩△同歩▲同角が4二の金に当たる。 52 同 桂(73) ( 0:00/00:05:00) *室田は歩ではなく、△6五同桂で応じた。 53 同 桂(77) ( 0:00/00:11:00) 54 同 歩(64) ( 0:00/00:05:00) *後手は2手前で単に△6五同歩とする変化と比べ、本譜は自陣の桂を持ち駒に変えた違いがある。 55 7五歩(76) ( 0:00/00:11:00) *渡部は力強い手つきで▲7五歩。 56 同 歩(74) ( 0:00/00:05:00) 57 同 角(48) ( 0:00/00:11:00) *後手は4二の金取りをどう受けるか。△5三銀、△5三金、△5三角などが考えられる。 * *※局後の感想※ *「この辺りは、お互いどういう形勢判断でしたか?」(久保九段) *「うーん(笑)」(渡部、室田) *「確かにそんな感じで、難しい局面だと思います」(久保九段) 58 5三金(42) ( 0:00/00:05:00) *離れ駒の金を中央に活用。次に△6四金と上がれば手厚い形だ。 *そして13時53分、渡部が30秒将棋に入った。 59 7六銀(87) ( 4:00/00:15:00) 60 7四歩打 ( 3:00/00:08:00) 61 5七角(75) ( 0:00/00:15:00) *※局後の感想※ *「▲5七角が後手の攻めに当たっちゃいましたか。代えて▲4八角のほうがよかったですかね。▲3五歩とかを考えていたので(▲4八角だと△3六桂がある)」(渡部) 62 6四金(53) ( 0:00/00:08:00) *「後手陣は、いい形になりましたね。玉頭戦はいかに玉頭を手厚くできるかを考えながら指すほうがいいです」(久保九段) 63 6六歩打 ( 0:00/00:15:00) *「▲6六歩は最善手だと思います」(久保九段) 64 同 歩(65) ( 0:00/00:08:00) 65 同 金(67) ( 0:00/00:15:00) *「この局面がポイントですね。振り飛車側からすると、▲6五歩から、また押さえ込まれる展開だと負けやすくなるので」(久保九段) 66 6五歩打 ( 0:00/00:08:00) *「△6五歩は金銀交換になりますが、▲6五歩で位を取られるよりは交換で済ませたほうが、ということですね」(久保九段) 67 同 銀(76) ( 0:00/00:15:00) 68 同 金(64) ( 0:00/00:08:00) 69 同 金(66) ( 0:00/00:15:00) 70 6四歩打 ( 1:00/00:09:00) 71 6六金(65) ( 0:00/00:15:00) *「現局面は、いい勝負ですね。どちらがいいとも言えないです」(久保九段) 72 4五銀(44) ( 0:00/00:09:00) *銀の突進で反撃。 73 7五歩打 ( 0:00/00:15:00) *今度は7筋に手をつける。 74 同 歩(74) ( 0:00/00:09:00) 75 5五歩(56) ( 0:00/00:15:00) *「▲5五歩は△4四角に備えて、次に▲7五金と出やすくしていますね」(久保九段) *すでに秒読みに入っている渡部は、29秒での着手が続いている。 76 4四角(62) ( 0:00/00:09:00) *好位置に角を移動し、先手玉をにらむ。 77 6七桂打 ( 0:00/00:15:00) *7筋と5筋、両方の活用を見た自陣桂。 *室田がテーブルの上で腕組みをし、少し前のめりになる。 78 6五桂打 ( 0:00/00:09:00) *この△6五桂も感触のよさそうな一手。 *角取りを見せながら、7七の地点に利いている。 79 3九角(57) ( 0:00/00:15:00) *スッと滑らせて、いちばん下まで角を引く。 *「代えて▲6五同金△同歩▲7五角は受けられてしまうと見たんですね。本譜▲3九角と逃げてくれたのなら、△6五桂は後手のポイントです」(久保九段) 80 4六銀(45) ( 5:00/00:14:00) *じっくりと時間を使い、銀を取った。まもなく室田も30秒将棋に入る。 81 同 歩(47) ( 0:00/00:15:00) 82 5五歩(54) ( 0:00/00:14:00) 83 7五桂(67) ( 0:00/00:15:00) *渡部は7筋に桂を跳び、玉頭攻めに出る。 84 5六歩(55) ( 1:00/00:15:00) 85 5五歩打 ( 0:00/00:15:00) 86 7四銀(63) ( 0:00/00:15:00) *「△5六歩▲5五歩の交換が入ったので、いったん△7四銀と逃げておこう、ということですね」(久保九段) * *※局後の感想※ *「代えて△7七歩で攻めるのはどうですか?」(久保九段) *「確かに△7七歩の対応が分からなかったです」(渡部) *「△7七歩か△7六歩か。ここで決めるんでしたか」(室田) 87 6五金(66) ( 0:00/00:15:00) *秒読みに追われたか、▲6五金の着手のあと、渡部の対局時計をたたく音が力強かった。 * *※局後の感想※ *▲6五金に代えて、単に▲5四金と打つほうがよかった。 88 同 歩(64) ( 0:00/00:15:00) 89 6四銀打 ( 0:00/00:15:00) *▲6四銀は△5五角を防ぎなら、後手玉への寄せを見た攻防手。 90 7三銀打 ( 0:00/00:15:00) 91 同 銀成(64) ( 0:00/00:15:00) 92 同 金(72) ( 0:00/00:15:00) *「△7三同金で形は悪くなりますが、後手は△5五角を目指しているわけですね」(久保九段) 93 5四金打 ( 0:00/00:15:00) *「▲5四金は、次に▲4四金と取っても後手玉に響かないので、ここは室田さんにチャンスがきていると思います」(久保九段) 94 6六銀打 ( 0:00/00:15:00) *室田が、本局で初めて慌て気味に△6六銀と打った。 * *※局後の感想※ *「△6六銀は中途半端な手で、負けにしたかもしれません」(室田) *「そうですね。△7七歩▲同金△7六歩と連打して、▲同金に△6七銀と打つほうがよかったかもしれませんね」(久保九段) 95 同 角(39) ( 0:00/00:15:00) *使えていなかった角と刺し違える。 96 同 歩(65) ( 0:00/00:15:00) 97 6四銀打 ( 0:00/00:15:00) *※局後の感想※ *「▲6四銀が厳しかったですね。△7五銀に▲7三銀成△同玉▲6五桂で結構後手玉が狭いという」(久保九段) *「そうですね。そこが誤算でした」(室田) 98 7五銀(74) ( 0:00/00:15:00) *「後手は△7五銀と取らないと持たないでしょうね。先手は寄せきれるなら▲7三銀成といきたいですし、少し足りないなら▲7五銀で。迷うところです」(久保九段) 99 7三銀成(64) ( 0:00/00:15:00) *代えて▲7五同銀では、攻め足が遅い。渡部は王手で迫る。 100 同 玉(82) ( 0:00/00:15:00) 101 6五桂打 ( 0:00/00:15:00) *「そうか、▲6五桂に△7四玉は▲7三金△6五玉▲7四銀△7六玉▲7七金で詰みですね。△7四玉が利かないようだと先手が勝ちに見えます」(久保九段) * *※局後の感想※ *「いやー、これで『勝ちました』という予定だったのですが(笑)」(渡部) 102 8三玉(73) ( 0:00/00:15:00) *いよいよ局面は大詰め。△8三玉で、まだ後手玉に即詰みはない。 *大盤解説場では▲7三金△9三玉▲8二銀△9二玉▲4四金△7六桂の変化を考えている。 103 7四歩打 ( 0:00/00:15:00) *※局後の感想※ *▲7四歩が敗着。代えて▲7三金△9三玉▲8二銀△9二玉▲4四金がまさり、△7六桂に▲9八玉と寄れば先手玉は詰まず、勝ちだった。 104 7二歩打 ( 0:00/00:15:00) 105 7三歩成(74) ( 0:00/00:15:00) *時間ぎりぎり、渡部が「成ります! すみません」と慌てながら▲7三歩成の王手。 * *※局後の感想※ *「代えて▲7三金△同歩▲同歩成は、金を1枚余分に渡すので、さすがにそれはできなかったですね」(渡部) 106 同 歩(72) ( 0:00/00:15:00) 107 6三金(54) ( 0:00/00:15:00) *▲7三金以下の詰めろ。 108 8二金打 ( 0:00/00:15:00) 109 6四銀打 ( 0:00/00:15:00) *「▲6四銀は7三の地点に足した攻めですが、△同銀▲同金の局面で後手にターンが回ります」(久保九段) 110 同 銀(75) ( 0:00/00:15:00) 111 同 金(63) ( 0:00/00:15:00) *「ここは後手の棋風が出る局面ですね。受けきって勝つなら△7二銀とかですが、△6七歩成▲同金△5五角で6四の金を抜きにいく順もあります」(久保九段) 112 5五角(44) ( 0:00/00:15:00) *この△5五角が攻防に利く絶好のポジション。 113 7四銀打 ( 0:00/00:15:00) 114 同 歩(73) ( 0:00/00:15:00) *代えて△9二玉は▲8三金と打たれて頓死する。 115 7三金打 ( 0:00/00:15:00) 116 9三玉(83) ( 0:00/00:15:00) 117 8二金(73) ( 0:00/00:15:00) *金を取って下駄を預ける。 *このあとは室田が先手玉を詰ませるかどうかの勝負だ。 118 6七歩成(66) ( 0:00/00:15:00) 119 9八玉(88) ( 0:00/00:15:00) 120 7六角打 ( 0:00/00:15:00) 121 9七玉(98) ( 0:00/00:15:00) 122 8五桂打 ( 0:00/00:15:00) 123 同 歩(86) ( 0:00/00:15:00) 124 8六銀打 ( 0:00/00:15:00) *△8六銀までで渡部の投了となった。以下▲同玉△7五銀▲9七玉△8六銀打までの詰み。 *終局時刻は14時21分。消費時間は▲渡部15分、△室田15分(チェスクロック使用)。 *勝った室田は決勝進出を決めた。 * *※局後の感想※ *本局のポイントは終盤の▲7四歩(103手目)。代えて▲7三金△9三玉▲8二銀△9二玉▲4四金なら先手勝ちだった。 125 投了 ( 0:00/00:15:00) まで124手で後手の勝ち