#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS # ---- Kifu for Windows V7 V7.70 棋譜ファイル ---- 開始日時:2023/04/23 17:03 終了日時:2023/04/23 17:52 棋戦:第3回卯月カップ 場所:港区立伝統文化交流館 手合割:平手   先手:堀彩乃1級 後手:田中沙紀1級 手数----指手---------消費時間-- *1dayトーナメント第3回卯月カップは、4月23日に東京都港区「伝統文化交流館」で行われる。今回は女流棋士7人とGSPチャレンジ代表の片野田陽南アマの8人で争う。持ち時間は15分(チェスクロック使用)。使いきると1手30秒の秒読み。 *本局は決勝戦の堀彩乃1級−田中沙紀1級戦。優勝を果たすのはどちらか。事前の振り駒は歩が3枚出て、堀1級の先手に決まった。両者大橋流で駒を並べる。 *決勝戦の前に、中倉宏美二段と島井咲緒里二段が大盤解説会へ。「二人の決勝は初めてだと思います。二人はVSもしているので、相当指していると思います」と中倉宏二段。あいさつのあと、藤井猛九段が島井二段と交代した。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) *【第81回1dayトーナメント・第3回卯月カップ】 *http://joshi-shogi.com/23251/ 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *堀 彩乃(ほり あやの)女流1級 *1993年5月28日生まれ、高知県出身。LPSA番号20。2016年、女流3級。2019年、女流1級。2022年度に行われた「第7回YAMADA女流チャレンジ杯」で準優勝した。 *https://joshi-shogi.com/11521/ 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *田中 沙紀(たなか さき)女流1級 *1994年11月18日生まれ、石川県出身。LPSA番号22。2021年、女流2級。2022年、女流1級。 *https://joshi-shogi.com/18095/ 3 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *堀の1dayトーナメントの優勝は2回。第75回の「Minervaカップ」、第76回の「第14回武蔵国府中けやきカップ」。 *今回は1回戦から大庭美樹初段、渡部愛三段を破って決勝に勝ち進んだ。 4 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *田中の1dayトーナメントの優勝は1回。第78回の「第15回武蔵国府中けやきカップ」で初優勝を果たした。 *今回は1回戦から片野田陽南さん(GSP代表)、上川香織二段に勝って決勝進出。 5 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *大会のスケジュールは以下の通り。 * *10:00 開場 *10:30 1回戦 *12:00 昼休憩 *14:00 開会式 *14:20 準決勝1 *15:30 準決勝2 *16:40 決勝戦 *18:00 表彰式 6 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *本大会の主催・スポンサーは以下の通り。 *◆主催 公益社団法人日本女子プロ将棋協会 *◆特別協賛 大庭一茂様 *◆協働 港区立伝統文化交流館 7 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *現地では、準決勝から大盤解説会が開かれる。解説は藤井猛九段。 8 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *藤井猛九段は振り飛車党のレジェンド。藤井システムを創案し、角交換四間飛車や藤井矢倉なども開拓した。 *最近、『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』を上梓した。 *【藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘 愛蔵版<書籍単品>|将棋情報局】 https://book.mynavi.jp/shogi/products/detail/id=134723 *【藤井猛全局集 竜王獲得まで(通常版)【棋譜データ付き】|将棋情報局】 https://book.mynavi.jp/shogi/products/detail/id=117006 9 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) *今回の優勝者は、「夢を叶える旅」2泊3日が副賞に用意されている。優勝者が行き先を希望できる。 *【トーナメントの副賞がとんでもないことになりました】 *https://www.youtube.com/watch?v=6iLB0u-Pifw 10 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *本日の様子は、LPSAのYouTubeチャンネルにアップされる予定。 *【LPSAのYouTubeチャンネル】 *https://www.youtube.com/@joshishogi 11 7八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *LPSAの1dayトーナメントは今回が81回目。第1回は2007年6月のパールカップ。 *堀は前回のけやきカップで準優勝だった。 12 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *戦型は田中得意のしゃがみ矢倉模様。先手は▲7九角と引けば▲2四歩からの歩交換が権利になる。 13 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *堀は2月に舌癌のステージ2で手術をした旨が発表された。リハビリはうまく進んでおり、3月にはけやきカップに出場。女流棋戦の対局も行っている。今回、こうして決勝まで勝ち進んで、元気なところを見せているのはうれしい。 *【堀彩乃女流1級についてお知らせ】 *https://joshi-shogi.com/23417/ 14 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *GSP代表の片野田陽南さんも大盤解説会に加わる。 15 7七銀(78) ( 0:00/00:00:00) 16 4三金(52) ( 0:00/00:00:00) 17 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *堀は少し考えて▲7八金とした。▲7九角のあと▲6八玉から▲7八玉とする駒組みもあったので、そうした選択肢を考えていたのだろう。 18 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 19 6九玉(59) ( 0:00/00:00:00) 20 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) 21 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *堀は急戦矢倉を目指している。中央で戦いになると、後手の2二銀が遊び駒になりやすい。 22 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 23 4七銀(48) ( 0:00/00:00:00) 24 5三銀(62) ( 0:00/00:00:00) 25 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) 26 4二角(33) ( 0:00/00:00:00) *▲4五歩△同歩▲同桂が角銀両取りにならないようにしつつ、△3三桂のしゃがみ矢倉を目指している。 27 6六銀(77) ( 0:00/00:00:00) 28 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *田中はしゃがみ矢倉が得意。桂には桂で4五を受けて、先手の攻めに備えている。 29 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) *急戦矢倉の将棋では▲9六歩の価値が高い。攻めていくと桂を渡しやすく、それを△9五桂と打たれると困るのだ。 30 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) 31 5五歩(56) ( 0:00/00:00:00) 32 同 歩(54) ( 0:00/00:00:00) 33 同 銀(66) ( 0:00/00:00:00) *「堀さんはあまり急戦のイメージがありません」と中倉宏二段。 34 5四歩打 ( 0:00/00:00:00) 35 6六銀(55) ( 0:00/00:00:00) 36 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *高い駒音だった。 37 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00) 38 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00) 39 8七歩打 ( 0:00/00:00:00) 40 8二飛(86) ( 0:00/00:00:00) 41 5八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *中央に戦力を集める。ただし、後手の5筋も厚い。 42 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) *中央から遠ざかる。 43 5九金(49) ( 0:00/00:00:00) 44 2一玉(31) ( 0:00/00:00:00) *この形が深い。角の利きから避けているのも大きい。 45 6八金(59) ( 0:00/00:00:00) *先手も堅陣になった。 46 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) 47 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) 48 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) 49 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) 50 2五桂(33) ( 0:00/00:00:00) *少考していた田中は大胆な打開手段に出た。ほかに△7四歩〜△6四歩〜△7三桂とする指し方もあった。 51 同 桂(37) ( 0:00/00:00:00) 52 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00) *「これはキビンコスナーです」と藤井九段。△2五桂はしゃがみ矢倉で局面を動かすときの一つの手段だ。 53 4五歩(46) ( 0:00/00:00:00) *後手の動きをとがめようとしている。後手は△2五歩と桂を取って一人前。その前に一仕事できるか。 *田中は前傾姿勢。堀は上体を起こして天を見上げる。 54 同 歩(44) ( 0:00/00:00:00) 55 5五歩打 ( 0:00/00:00:00) 56 2五歩(24) ( 0:00/00:00:00) 57 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00) 58 同 金(43) ( 0:00/00:00:00) *△5四同銀は▲5五歩で銀が動けないので仕方ない。しかし、後手は玉形が乱れた。 59 5五銀(66) ( 0:00/00:00:00) *堀は勢いに乗って攻めかかる。 *「先手は1歩損ですけど、攻めの取っ掛かりを作りました。部分的にはうまくいっていますが、玉と飛車角が接近しているんです。なので、形勢が揺れ動くほどではないと思います。相居飛車は玉を囲う場所がないんです」と藤井九段。 60 同 金(54) ( 0:00/00:00:00) *3分ほど考えて田中は△5五同金と応じた。ほかに△5七歩(▲同飛は△6五桂が飛車角両取り)もあった。 61 同 角(77) ( 0:00/00:00:00) 62 5四歩打 ( 0:00/00:00:00) *田中は落ち着いて対応している。後手は△2四角の活用が楽しみ。 63 7七角(55) ( 0:00/00:00:00) 64 8八歩打 ( 0:00/00:00:00) *田中は大きく息をついて△8八歩を打ち込む。鋭い手に藤井九段が「おっ」と声を上げた。17時31分、堀は秒読みに入った。 65 同 角(77) ( 0:00/00:00:00) *17時34分、田中も秒読みに入った。 66 5五桂打 ( 0:00/00:00:00) *田中は高い駒音で桂を打ちつける。 67 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00) *終盤に入り、大盤解説会の聞き手は上川香織二段に交代している。 68 4六歩(45) ( 0:00/00:00:00) *「突き捨てた歩を伸ばされるのは、手のリズムとしては嫌なものです」と藤井九段。 69 5九桂打 ( 0:00/00:00:00) *堀は辛抱する。見た目は後手好調。 70 4七銀打 ( 0:00/00:00:00) 71 5七飛(58) ( 0:00/00:00:00) 72 4八銀成(47) ( 0:00/00:00:00) *△5六銀成▲同飛△4七歩成と、と金を作りを優先する指し方もあった。 73 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) 74 4七歩成(46) ( 0:00/00:00:00) 75 同 桂(59) ( 0:00/00:00:00) 76 4六歩打 ( 0:00/00:00:00) 77 5五桂(47) ( 0:00/00:00:00) 78 同 歩(54) ( 0:00/00:00:00) 79 同 角(88) ( 0:00/00:00:00) *先手は守勢だが、持ち歩を増やしつつ壁駒をさばいて主張がある。 80 4七歩成(46) ( 0:00/00:00:00) 81 同 銀(56) ( 0:00/00:00:00) 82 4五桂打 ( 0:00/00:00:00) *厳しい攻めが入った。これで後手は駒得できる。 83 5六飛(57) ( 0:00/00:00:00) 84 4七成銀(48) ( 0:00/00:00:00) 85 2三歩打 ( 0:00/00:00:00) *堀はすぐに歩を打った。手番を生かした反撃でどれくらいポイントを稼げるか。 86 同 銀(22) ( 0:00/00:00:00) 87 4三歩打 ( 0:00/00:00:00) *手筋連発。△4三同金は▲2二金まで。 88 2四角(42) ( 0:00/00:00:00) *▲1一角成△同玉▲5三飛成と素抜く筋ができた。これをより効果的に行使したい。 89 3六桂打 ( 0:00/00:00:00) 90 3五角(24) ( 0:00/00:00:00) *後手は銀得だが、先手の攻め駒が急所に入っている。 *藤井九段は「危ない格好ですね」という。 91 3三歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲2四歩もあるので先手の攻めは厳しい。「うるさいね。相当にうるさい」と藤井九段。 92 2二金(32) ( 0:00/00:00:00) 93 2四歩打 ( 0:00/00:00:00) *2筋から4筋の急所に歩を3連打。銀損を補ってあまりある厳しさだ。 94 同 銀(23) ( 0:00/00:00:00) *田中は迷うそぶりを見せて△2四同銀。手番がくれば△5七桂成が厳しいのだが。 95 同 桂(36) ( 0:00/00:00:00) 96 同 角(35) ( 0:00/00:00:00) 97 3二金打 ( 0:00/00:00:00) *▲2三歩△同金▲3二銀と迷うところだった。 98 1二玉(21) ( 0:00/00:00:00) 99 4二歩成(43) ( 0:00/00:00:00) *「▲2二金に△同飛と取られないようにしたんだ」と藤井九段。 100 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00) 101 3一銀打 ( 0:00/00:00:00) *飛車を取らずに迫る。本命は▲2二銀成の詰めろ。「怒濤の攻めですね」と藤井九段。 102 3二金(22) ( 0:00/00:00:00) 103 同 歩成(33) ( 0:00/00:00:00) *「これは決まっていますね」と藤井九段。 104 同 飛(42) ( 0:00/00:00:00) 105 2二金打 ( 0:00/00:00:00) *85手目▲2三歩からきれいな攻めが決まった。 106 1三玉(12) ( 0:00/00:00:00) *田中は諦めない。 107 3二金(22) ( 0:00/00:00:00) 108 4四銀打 ( 0:00/00:00:00) 109 2一飛打 ( 0:00/00:00:00) *堀の攻めは手厚い。 *ここで田中が「負けました」と告げて投了の意思表示をした。終盤で反撃に移った堀が厳しい攻めを決めて、通算3回目の優勝を果たした。 *終局時刻は17時52分。 *※局後の感想※ *76手目△4六歩は手筋に見えたが、俗に△4七同桂成▲同銀△4五桂▲5六飛△4七成銀と、銀を取っていれば本譜よりも得だった。 110 投了 ( 0:00/00:00:00) まで109手で先手の勝ち