# ---- Kifu for Windows V6.29 棋譜ファイル ---- 開始日時:2009/05/31 10:45 終了日時:2009/05/31 12:20 棋戦:第3回日レス杯1回戦 持ち時間:0時間40分 消費時間:117▲40△40 場所:中野サンプラザ 手合割:平手   先手:成田弥穂女子アマ王位 後手:松尾香織初段 手数----指手-- *LPSA公認棋戦、第3回日レスインビテーションカップ・女流棋士トーナメント。1回戦の松尾香織初段−成田弥穂女子アマ王位戦。持ち時間はチェスクロック使用で各40分、使い切ると1手60秒の秒読み。対局開始は10時45分から。両者は初手合い。 *事前に行われた振り駒はと金が3枚で成田さんの先手に決まった。10時30分から参加選手全員での開会式が行われた。 * *(棋譜・コメント入力=桜木) 1 5六歩(57) *開始の合図から一呼吸置いて、成田さんはゆっくりと中央の歩を突いた。得意の中飛車を宣言している。 2 3四歩(33) *松尾もゆったりと時間を使って角道を開けた。 3 6八銀(79) *すぐに▲5八飛ではなく銀を上がった。相振り飛車を視野に入れたものか。 4 3二飛(82) *松尾は三間飛車に。松尾は振り飛車党だ。 5 5七銀(68) *成田弥穂(なりたみほ)さんは宮城県在住の中学3年生。LPSAが主催する女子アマ王位戦優勝している。昨年度のLPSA公認棋戦第1期天河戦での活躍は記憶に新しい。船戸陽子二段、中倉宏美二段、中倉彰子初段、北尾まどか初段をなで切りにして決勝3番勝負に進出した。中井広恵六段には0−2で敗れたが、大きな注目を集めた。趣味はピアノ・空手(二段)。得意科目は数学。 6 5二金(41) *松尾は1974年7月30日生まれ。広島県下蒲刈島(呉市)出身。LPSA番号16。埼玉大学将棋部時代に主将を務め、1994年春季関東学生女流戦優勝。愛用はゴキゲン中飛車。中盤での軽いさばきを得意としている。趣味は絵画、華道、登山。夫は日本将棋連盟棋士・松尾歩七段。 7 7六歩(77) *成田さんは *第2回全国小学生倉敷王将戦低学年の部3位。 *第5回全国小学生倉敷王将戦高学年の部3位(準決勝では、現在奨励会三段の阿部光瑠君に敗れた)。 *第28回・第29回の中学生選抜選手権女子の部優勝。 *第38回女流アマ名人戦で準優勝。 *第18回アマチュア女王戦3位などの実績がある。 8 6二玉(51) *松尾の今期女流公式戦の成績は1勝1敗。通算成績は65勝84敗、0.4362。第1回の日レスカップは藤田麻衣子1級、北尾まどか初段を破って4強入り。準決勝で石橋幸緒現女流王位に敗れて決勝進出を逃した。第2回は初戦で蛸島彰子五段に敗れている。 9 7七角(88) *日レスインビテーションカップは3回目。前2回は中井広恵女流六段が連覇している。 *今回は過去2回に参加したLPSA所属棋士14人に加え、昨夏入会の船戸陽子二段と今春公認ツアー女子プロ選手となった渡部愛さんもエントリー。特別推薦選手として笠井友貴女流アマ名人、小野ゆかりアマ女王、成田弥穂女子アマ王位が参加。計19人のトーナメントとなっている。 10 4四歩(43) *じっと角道を止めた。消極的なようだが、駒組みに専念する意図だろう。本格的な棋風の松尾らしい進め方。 * *本局の勝者は14時から行われる2回戦で島井咲緒里初段と対戦する。 11 8八飛(28) *飛車の位置を保留していた成田さんは向かい飛車に。 12 7二銀(71) *早めに美濃囲いを作る。 13 4八玉(59) *対局場は東京の「中野サンプラザ」8階。1回戦の5局が同部屋で一斉に行われている。本日は公開対局でファンも近くから観戦できる。別会場でプロジェクターを使った大盤解説も開かれている。最初の解説者は中田功七段と中井広恵六段。 14 4二銀(31) *開会式では詰めかけたファンの前で、出場者が一言ずつ抱負を述べた。 *松尾初段のコメントは「おはようございます。今日の対戦相手は天河戦で大活躍した成田さんで、朝から大緊張しています。うちの協会は同じ相手との対戦が多いので、珍しい相手で楽しみです」。 15 8六歩(87) *成田さんのコメントは「成田弥穂と申します。自分の力を出し切れるように精いっぱい頑張りたいと思います。よろしくお願いします」。 16 7一玉(62) 17 8五歩(86) 18 4三銀(42) 19 3八玉(48) 20 3五歩(34) 21 2八玉(38) 22 1四歩(13) 23 3八金(49) 24 1五歩(14) *端の位を取って先手陣にプレッシャーをかける。 25 1八香(19) *穴熊を目指す成田さん。 26 3六歩(35) *このタイミングで歩交換に出る。 27 同 歩(37) 28 同 飛(32) 29 3七歩打 *囲いが完成するまでキズを残さないように、おとなしく歩を受ける。 30 3四飛(36) *歩を交換しながら好位置に飛車を引く。働いた手順。 31 1九玉(28) *穴にもぐった。 32 3三桂(21) *3四飛と3三桂は石田流と呼ばれる振り飛車の好形。後に△2五桂から穴熊の玉頭直撃があり、攻めには困らない。 33 2八銀(39) *自然にハッチを閉める。 34 2四歩(23) *じっくり5分ほど使って△2四歩。着手後、松尾はミネラルウオーターをコップに注いで一口飲んだ。 35 9六歩(97) 36 2五歩(24) 37 9五歩(96) *後手は1筋、先手は9筋の位をそれぞれ取る。 38 2四飛(34) *3筋に続いて2筋の歩も手持ちにする動き。 39 6六角(77) *ひとつ上がる。▲7七桂の活用と9筋の端攻めを見せたものか。 40 2六歩(25) 41 同 歩(27) 42 同 飛(24) 43 2七歩打 44 2四飛(26) *2つ目の歩を手持ちにした。飛車の利きが先手陣に直射するとともに、△2五桂と使えるようになった。歩は端攻めの弾薬として価値が高い。 45 8四歩(85) 46 同 歩(83) 47 同 飛(88) 48 8三歩打 49 8八飛(84) *8筋の歩を交換して元の位置へ。悠然としている。 50 1六歩(15) *いきなりの仕掛け。 51 同 歩(17) 52 2五桂(33) 53 2六歩(27) *2五桂に威張られたままにはさせない。攻めを催促する。 54 1七歩打 55 同 桂(29) 56 同 桂成(25) 57 同 銀(28) *先手は2歩得したが、ずいぶん陣形を乱された。 58 4五歩(44) *先手陣を薄くしてから角交換を挑む。△2五桂からの予定なのだろう。松尾はどんどん駒をさばいていく。 59 2二角成(66) *少考で先手から角を換える。 60 同 飛(24) 61 8二歩打 *これが成田さんの狙いだった。△8二同玉なら▲7四桂がある。以下(1)△7一玉は▲8二角までの詰み(2)△7四同歩なら▲5五角の王手飛車(3)△9二玉には▲8二歩か、▲9四歩△同歩▲9三歩という調子だろう。 62 4九角打 *桂取りを放置し、松尾はすぐに角を打ち込んだ。 63 8一歩成(82) *得した歩が桂になった。駒得の成田アマ快調か。 64 同 玉(71) 65 2八玉(19) *すぐの△3八角成や△2七歩をケアして玉を上がる。穴熊にこだわらず、広く柔軟に構える。 *大盤解説は中田功七段と中倉宏美二段のコンビ。「▲2八玉はいい手ですね。後手から攻めてきたのですが、成功したかどうか」と中田七段。 66 4六歩(45) *手筋の突き捨てだが。 67 同 銀(57) *この形は△3五桂も消して堅い。 68 2五歩打 *継ぎ歩で攻めを続ける。 69 同 歩(26) 70 2六歩打 *継ぎ歩に続いて垂れ歩。歩を駆使した攻め。▲2六同銀なら△3四桂の両取り。といって次の△2五飛も強烈だ。成田さん、どう受けるか。 71 2四桂打 *後手の飛車を抑える。 *松尾は残り1分、成田さんは残り3分。 72 6七角成(49) *敵玉から遠ざかるが、歩切れを解消した。 73 3三角打 74 2一飛(22) 75 5五角成(33) *天王山に大きな馬を引きつける。 76 5四歩(53) *ここから松尾は1手1分の秒読みに入った。 77 6五馬(55) *すべらすように馬を寄った。場合によっては▲8三馬を狙っている。 78 5三桂打 *▲8四歩△同歩▲8三歩と自然に攻められるともたない。さらに馬を追う。 79 7五馬(65) 80 5六馬(67) *松尾も馬を働かせる。 81 9四歩(95) *成田さんは追撃の手をゆるめない。△9四同歩は▲9二歩△同香▲9三歩。馬の力が絶大だ。 82 3六歩打 *秒に追われながらの指し手。 83 同 歩(37) *落ち着いて▲3六同歩と応じた。 84 4五桂(53) *桂の二段活用。 85 4八馬(75) *馬を引きつける。手堅い指し回し。 * *※「▲2六銀と払うべきでした」と大盤での成田さん。 86 3七歩打 87 3九金(38) *成田さんも一手1分の秒読み。首をかしげながら金を引く。 *松尾は駒がたくさんあれば2七に打っていけるが…。 88 8九馬(56) *こちらに飛び込んだ。 * *※苦しいながら△4六馬▲同歩△2七銀だったか。▲1九玉に△1六香か△3六銀成か。それなら切らすのは大変。 89 同 飛(88) 90 7七桂打 *金気を取ろうということだが、攻めが細いか。 91 2六銀(17) *「両取り逃げるべからず」で拠点を払う。成田さんは落ち着いている。 92 8九桂成(77) *飛車は取り返したが、この瞬間は甘い。 93 9三歩成(94) *後手陣の一角を破って確実に迫る。 94 9九成桂(89) *頭に手をやりつつ根っこをはずす。 95 8二角打 *角でしばった。逃がさないようにしてから次に▲9二歩だろうか。 96 9三香(91) 97 同 角成(82) *▲9三同馬は△9二歩で、攻め駒の身動きが取れなくなる。 98 9二歩打 *馬を追って頑張る。後手玉は7一から抜け出せばまだまだ広い。 99 8二歩打 100 7一玉(81) 101 7五馬(93) *5三へもニラミを利かせる。こうなってみると松尾の攻め駒が少ない。 102 8二玉(71) *歩を払ったが、危険地帯に近づいた意味もある。 * *※「この手でだいぶ損をした」と松尾。 103 9三歩打 *再度の合わせが厳しい。 104 7一玉(82) 105 9二歩成(93) *9二の後手の歩が、先手のと金に替わったような形。 106 9八飛打 *打たないと▲8二と△同玉▲9三馬の筋がある。 107 6八香打 *飛車の利きを止め、手厚い指し回し。 108 4四歩打 *1回戦は5局中3局が終局し、残るのは本局と鹿野圭生初段−小野ゆかりアマ女王戦だけとなった。 109 3五桂打 110 3四銀(43) 111 6六馬(48) *2枚目の馬を活用。▲4四馬の飛び出しを見ている。 112 3五銀(34) 113 同 銀(46) *先手陣は守備駒が多く、スキがない。 114 4三香打 115 5三銀打 *歩ではなく銀から。▲9三馬以下の詰めろになっている。 116 5五桂打 117 9三馬(75) *ここで松尾が投了した。以下は△9三同飛成▲同馬までの詰み。両者は感想戦のため大盤に移動した。 *「端攻めをしたのですが、うまくいかなかったですね」と松尾。持ち前の手厚い指し回しで成田さんが2回戦進出を決めた。 118 投了 まで117手で先手の勝ち