# --- Kifu for Windows (Pro) V6.32 棋譜ファイル --- 開始日時:2009/09/26 14:00 終了日時:2009/09/26 15:36 棋戦:第3回日レス杯準決勝 持ち時間:0時間40分 消費時間:101▲40△40 場所:東京・汐留メディアタワー 手合割:平手   先手:成田弥穂女子アマ王位 後手:中倉彰子女流初段 手数----指手-- *本局は第3回日レス杯準決勝第2局の中倉彰子女流初段−成田弥穂女子アマ王位戦。持ち時間は40分、秒読みは1手60秒(チェスクロック使用)。対局場は東京都港区の「汐留メディアタワー・アネックス」。対局開始は14時。 *中倉女流初段は準々決勝の小野ゆかりアマ女王に続いてアマチュア選手と対戦することになった。成田女子アマ王位は天河戦に続いての快進撃だ。 *中倉初段は13時30分ごろに対局場入り。真剣な表情で盤面を見据える。しばらくして石橋幸緒女流王位が対局場に入って中倉女流初段に「もう指しているのかと思った(笑)」と声をかけた。 *振り駒の結果、と金が4枚出て、成田女子アマ王位が先手に決まった。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) 1 7六歩(77) 2 8四歩(83) *中倉女流初段は現在は四間飛車穴熊を得意にしているが、もともとは居飛車党。 *特に相手が振り飛車党のときは相振り飛車にせず、自分は居飛車にすることが多い。 3 6八銀(79) *成田弥穂(なりたみほ)さんは宮城県在住の中学3年生。趣味はピアノ・空手(二段)。得意科目は数学。 *学校の制服姿で本局にのぞんでいる。 4 3四歩(33) *中倉女流初段の本年度の女流公式戦成績は1勝2敗 *通算成績は76勝106敗/勝率は 0.418 *LPSA棋戦では、7月に行われた第26回1dayトーナメント・Mondayカップで準優勝している。 5 6六歩(67) *天河戦ではゴキゲン中飛車で勝ち上がってきた成田女子アマ王位だが、本棋戦では角道を止める、昔によく指された中飛車を採用している。 6 6二銀(71) *中倉女流初段は1977年3月2日生まれ。 *東京都府中市出身。堀口弘治七段門下。 *アマチュア時代から活躍し、91年と92年に第23回、第24回女流アマ名人戦優勝で2連覇している。 *94年4月に女流2級としてデビュー。2002年4月、女流初段。 *中倉宏美女流二段は妹にあたる。 7 5八飛(28) *成田さんは第2回全国学生倉敷王将戦低学年の部3位。第5回全国小学生倉敷王将戦高学年の部3位(準決勝では、現在奨励会三段の阿部光瑠君に敗れた)。第28回・第29回の中学生選抜選手権女子の部優勝。第38回女流アマ名人戦で準優勝などの実績がある。 8 4二玉(51) *中倉初段は藤森奈津子女流三段、大庭美樹初段、小野ゆかりアマ女王を破っての準決勝進出。 9 4八玉(59) *成田女子アマ王位は松尾香織初段、島井咲緒里初段、中井広恵天河を破っての準決勝進出。 *優勝候補の一人だった中井天河を破った白星が光る。 *天河戦に続いての決勝進出を狙う。 10 3二玉(42) 11 3八玉(48) *成田女子アマ王位は観戦に来られた人の中に知り合いがいるようで、 *大盤解説場での感想戦後に「すごいねー」などと声をかけられていた。 12 5四歩(53) 13 2八玉(38) 14 5二金(61) 15 3八銀(39) *舟囲いと美濃囲いは居飛車対振り飛車の基本的な構え。 16 5三銀(62) 17 6七銀(68) *5筋の歩を保留するのは、山口英夫八段が開発した「英ちゃん流中飛車と呼ばれるもの。 *▲5六歩保留の効果は▲5六銀と活用できる、1手をほかのところに回せる、という点が挙げられる。 18 3三角(22) *中倉女流初段は持久戦を目指す。 19 4六歩(47) *両者は2月の天河戦の1回戦で対戦している。 *そのときは成田女子アマ王位が角交換中飛車から勝っている。 *本局は角道を止めた中飛車だ。 20 2二玉(32) 21 5九金(69) *そろりとした手つきで金を寄せた。 22 4四歩(43) 23 4八金(59) *▲5八金左〜▲4七金とスムーズに動けないところが中飛車の弱点だが半面、▲5六歩〜▲5五歩と歩を交換できるところが長所となる。 24 1二香(11) *中倉女流初段は居飛車穴熊を目指す。 25 4七金(48) *成田女子アマ王位は高美濃に構える。 26 1一玉(22) 27 3六歩(37) 28 2二銀(31) 29 1六歩(17) 30 3一金(41) 31 1五歩(16) *「成田さんは居飛穴に組ませましたか。6七の銀が出る 将棋にはしないでしょうね」と大盤解説場の片上六段。 32 8五歩(84) 33 7七角(88) 34 4三金(52) *中倉女流初段は右手をほほに当てて考えている。 *普段はニコニコ笑顔の絶えない中倉女流初段だが、対局中の表情は険しく、プロの顔。 35 3七桂(29) *成田女子アマ王位はポーカーフェースで指し進めている。 36 7四歩(73) *四間飛車対居飛車穴熊でも似たような形は出てくる。 *中倉女流初段は△7二飛から△7五歩▲同歩に△同飛や△6四銀を狙う。 37 7八飛(58) *藤井システムやゴキゲン中飛車など居飛車側に穴熊を組ませない将棋が流行しているため、本局のような、堂々と居飛車穴熊を組ませる将棋は新鮮に映る。 *ここまでの消費時間は成田女子アマ王位8分、中倉女流初段15分。 38 9四歩(93) 39 2六歩(27) *▲3七桂と▲2六歩はワンセット。▲3七桂は▲2五桂からの端攻めを見せており、▲2六歩は玉の懐を広くしながら、銀冠への組み替え狙っている。 *▲2六歩と突いたことで、▲2七玉〜▲1六玉と逃げられるようになった。 40 5一角(33) *ぼーっと、▲2七銀とすると、すかさず△9五角とぶつけて後手十分。 41 9六歩(97) 42 3三金(43) *中倉女流初段は角の態度を保留して陣形を固めた。 43 2七銀(38) *銀冠へ組み替える。 44 4二銀(53) *5三銀型はバランスはいいものの、どっちつかずという意味もある。△4二銀は△4三銀〜△4二角を狙っている。 45 3八金(49) *端の位を取った銀冠は堅くて広い陣形。 *▲1七玉と「小部屋」に逃げ込んだ後も粘りが利きやすい。 46 4三銀(42) *ノータイムでパシッ。 *中倉女流初段は駒音を立てて△4三銀と上がった。 47 6五歩(66) 48 4二角(51) *居飛車穴熊としては十分な形。 *4枚穴熊+△4二角という陣形は8一桂を活用しやすいことや、△8六歩の争点があることが大きい。 *5三にいた銀を横にずらしたことで駒の活用がスムーズになっていることに注目してほしい。 49 8八飛(78) *成田女子アマ王位は受け身の指し方。 50 3二金(33) *守りはこれ以上ないいい形。 *中倉女流初段は次に△7三桂と桂を使いたい。 51 5六銀(67) *成田女子アマ王位の駒組みは故・大山康晴十五世名人を連想させる。ただ、大山十五世名人の銀冠は▲3七桂を跳ねない。2九桂型にしておくと、横からの攻め(△7九飛〜△2九金の攻め)に強い。 52 7三桂(81) *後手はほとんどすべての駒が働いている。 53 9七香(99) *消費時間は成田女子アマ王位17分、中倉女流初段21分。 *手数は53手目まで進んでいるがまだ序盤戦。 *隣で行われている石橋−笠井戦は40手あたりで中盤戦に入っていた。 54 9二香(91) *中倉女流初段も手待ちする。 *△8一飛〜△6四歩▲同歩△6一飛が打開筋の一つ。 *▲5六銀型は手詰まりになりやすく、現局面でも指す手が難しい。 55 6六角(77) *△8六歩が見えているだけに度胸のある手。 *対局場に渡部愛ツアー女子プロと小野ゆかりアマ女王が訪れ、本局の様子を見ている。 *対局者の横に日本レストランシステムのペットボトルの天然水が置かれている。 56 8六歩(85) *4分ほど考えて仕掛けた。 *仕掛けのある局面で仕掛けないのでは4枚穴熊が泣くというものだ。 57 同 歩(87) 58 同 飛(82) 59 同 飛(88) *大決戦となった。 60 同 角(42) 61 8二飛打 *成田女子アマ王位は▲4五歩に期待している。 62 5九角成(86) *△6九飛も考えられた。 63 4五歩(46) *期待の攻め。▲4四歩と取り込めば、4三銀の逃げ場がない。 64 5五歩(54) *▲同角なら後で△5四銀と出る筋が生じるが、▲同銀の場合にどうするか。 *残り時間は成田女子アマ王位17分、中倉女流初段9分。 65 同 角(66) *▲4四歩△5四銀▲7三角成と取る味に期待したか。7三馬は自陣によく利く位置だ。 66 6五桂(73) 67 同 銀(56) *▲4四歩のときに△5四銀とかわせなくなった。 68 6九飛打 *現在、中倉女流初段の攻め駒は飛車と馬の2枚だけ。と金を作ったり、駒を補充しないと息切れしそうだ。 69 1四歩(15) *受けに回る手もありそうだったが、攻め合いへ。 * *※「端が早いと思った」と成田女子アマ王位。「(64手目)△5五歩とかがひねり過ぎでおかしかったですか」と中倉女流初段。 70 同 歩(13) 71 1三歩打 72 同 桂(21) *成田女子アマ王位は△6五飛成とされても自陣に響かないので、今のうちに攻め切るつもりだろうか。 *大盤解説会では片上六段が69手目▲1四歩が示されたときに「これはやりすぎでしょう」とコメントしていた。 73 1四香(19) 74 1六歩打 *手筋。 *▲1三香成△同香となれば、どちらが端を攻めているのか分からない、ということになる。 *といって、▲1六同銀では陣形が弱くなる。片上六段がいうように端攻めは指し過ぎか。 *成田女子アマ王位は1六歩を取りかけてから、「失礼」と言って、元の位置に戻した。 75 同 銀(27) *先手陣が薄くなった。 76 4九馬(59) 77 4八金(47) *馬取りだが、6九飛がいるので慌てることはない。 *△1七歩も魅力的だ。 78 1七歩打 *放っておくと△1八歩成▲同玉△4八馬▲同金△3九飛成で受けが難しくなる。 79 1九歩打 *こうなっては1筋の応酬は攻守が逆転した感じだ。 *中倉女流初段はここから1分将棋に入った。成田女子アマ王位は残り9分。 * *※大盤解説では、このあたりは穴熊が勝ちそうという見解だったという。中倉女流初段も「良くなったと思った」と手応えがあった様子。 80 3五歩(34) *△6五飛成も有力だったが、強くいった。 *▲4四歩〜▲4三歩成とされても後手玉は詰めろにならないのが強みだ。 81 2五桂打 *端に戦力を足す。 *また、△3六歩に▲3三歩をちらつかせて相手に心理的なプレッシャーをかけている。 82 5九飛成(69) *「お願いですから、馬を取ってください」という手。 *▲4九金△同龍の形は△1九龍▲同玉△1八金までの詰めろになっている。 83 1三桂成(25) *お願いは聞かず、後手玉に詰めろをかけた。 84 同 香(12) 85 同 香(14) 86 同 銀(22) *後手も1一玉が5五角のラインに入って怖い形。 *成田女子アマ王位も1分将棋に入った。 87 4九金(48) 88 同 龍(59) 89 2五桂(37) *攻防手で切り返す。△1九龍に▲3七玉と逃げられる。 * *※「▲2五桂がピッタリでしたね」と片上六段。 90 3六歩(35) 91 1二香打 *迷ったような様子で香を打った。 92 2一玉(11) 93 3九歩打 *アヤをつけてから受けに回る。 94 3七金打 *△3七香は次に△3八香成としても▲1七玉と「小部屋」に逃げられたときに詰みのない形。そこで中倉女流初段は直接迫った。 95 同 角(55) *終盤は金の守りが大事。「金なし将棋に受け手なし」という格言もある。 *成田女子アマ王位は角を犠牲に玉の堅さを保つ。 96 同 歩成(36) 97 1七玉(28) *小部屋へ逃げ込む。3八金が強く先手玉は詰まない。 98 3八龍(49) *詰めろをかけたが…。 99 1一金打 100 2二玉(21) 101 3三角打 *8二飛が利いており、後手玉は詰み。中倉女流初段の投了となった。終局時刻は15時36分。熱戦を制した成田女子アマ王位が決勝戦に進出を果たした。 * *※結果的に80手目△3五歩から△3六歩としても、先手玉に響きが薄かったようだ。そこで、80手目の局面ですぐに△5九飛成とする手もあった。 *終局後、大盤解説会場で感想戦を行った後、中倉女流初段は一人、対局場に戻って本局の検討を続けていた。 102 投了 まで101手で先手の勝ち