# --- Kifu for Windows (Pro) V6.32 棋譜ファイル --- 開始日時:2010/09/25 13:00 終了日時:2010/09/25 17:03 棋戦:第4回日レス杯決勝 持ち時間:1時間30分 消費時間:147▲90△90 場所:東京 手合割:平手   先手:中井広恵六段 後手:石橋幸緒天河 手数----指手-- *本局は第4回・日レスインビテーションカップ決勝 石橋幸緒天河−中井広恵六段戦。 *持ち時間は1時間30分(チェスクロック使用)。使い切ると1手60秒の秒読み。 *立会人は蛸島彰子五段。記録係は高崎真子さん。 *12時55分ごろ、両者大橋流で駒を並べていく。振り駒の結果、と金が4枚出て中井六段の先手に決まった。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) *※は感想戦内容。 1 7六歩(77) *多くの関係者が対局の様子を見守り、厳粛な雰囲気の中で対局が始まった。 2 3四歩(33) *石橋幸緒(いしばし・さちお)天河は1980年11月25日生まれ。東京都小金井市出身。LPSA番号は10。今年、5月にLPSA代表理事に就任、先頭に立って運営にあたる。93年10月、女流2級。19歳で初タイトルの女流王将を獲得。2004年9月、女流四段。 *養護学校に通っていた経験を活かし、教室や大会などでハンデを持つ方への普及を積極的につとめている。 *書道は師範格で「開雲」の号を持つ。座右の銘は「万物生きてこそ光り輝く」。 *オールラウンドプレーヤーで何でも指しこなす。 3 2六歩(27) *中井広恵(なかい・ひろえ)六段は1969年6月24日生まれ。北海道稚内市出身。LPSA番号は7。LPSA設立から09年まで日本女子プロ将棋協会代表理事を務める。現在はLPSAのエグゼクティブアドバイザーとして運営にも携わっている。 *81年4月、女流2級。当時11歳10ヶ月のデビューは、当時の史上最年少記録。86年、第12期女流名人位戦で初タイトル獲得。93年、第7期竜王戦で男性棋士から公式戦初勝利を挙げる。86年、稚内市民栄誉賞。2008年、第3回さいたま輝き荻野吟子賞(個人)。 *居飛車党で攻守にバランスのとれた棋風、得意戦法は矢倉。 4 4二飛(82) *石橋天河の作戦は角道を止めない四間飛車。 5 4八銀(39) *本棋戦は主催が日本女子プロ将棋協会、日本レストランシステム株式会社。 *協賛は株式会社トーエル、キリンビール株式会社、中沢乳業株式会社。 *【日本レストランシステム株式会社】 *http://www.n-rs.co.jp/ *【株式会社トーエル】 *http://www.toell.co.jp/campaign/choice.html *【キリンビール株式会社】 *http://www.kirin.co.jp/ *【中沢乳業株式会社】 *http://www.nakazawa.co.jp/ 6 6二玉(51) *日レスインビテーションカップはトーナメント形式のLPSA公認棋戦で、今回が4回目となる。 *過去3回の優勝者は中井、中井、石橋。ほかに天河戦がタイトル戦形式のLPSA公認棋戦で、石橋が天河保持者だ。 7 6八玉(59) *第1回の決勝の対戦も、石橋−中井戦だった。そのときは中井六段が、石橋天河の四間飛車を破った。 *http://www.joshi-shogi.com/nrs/kifu/071117_nrs_final.html 8 7二玉(62) *石橋天河は鈴木悠子アマ、中倉彰子女流初段を破って決勝進出。 *2連覇を目指す。 9 7八玉(68) *中井六段は蛸島彰子五段、渡部愛ツアー女子プロ、新藤仁奈アマ破って、決勝に進出した。 *3回目の優勝を目指す。 10 8二玉(72) *本局で使用されている駒は秀峰師作の源兵衛清安書。三宅島の50年ものの黄楊を使用している。本局のために、新たに用意された。 *駒を並べるときに、歩が5枚も余った。非常に珍しい。通常、歩は2枚余る。 11 2五歩(26) *床の間に「山雲海月情」と書かれた故・原田泰夫九段の掛け軸がかけられている。 12 7二銀(71) *本日は朝に降っていた小雨もやんで、きれいな青空が広がってきた。 * *石橋天河は美濃囲いに組んだ。ここで▲2四歩△同歩▲同飛は△8八角成▲同銀△2二飛と反撃して後手十分。部分的に升田式石田流を応用した反撃手順だ。 13 9六歩(97) 14 9四歩(93) 15 3六歩(37) *▲5六歩や▲5八金右のほうが普通だが、▲3六歩は△3五歩〜△3二飛と石田流への転換を防いでいる。 *対局開始から15分。消費時間は中井9分、石橋6分。 *持ち時間が長いこともあり、石橋天河がジックリ考えている。 16 8八角成(22) *熟考の末に角を交換した。 17 同 銀(79) 18 2二飛(42) *飛車で2筋を受ける。この後、△4二銀〜△3三桂(または△3三銀)と駒組みしていくことになる。 19 7七角打 *部分的に見られる自陣角。△1二飛と逃げれば、▲2四歩と攻めていける。 20 3二金(41) *13時30分過ぎ、石橋天河が△3二金を着手する。目新しい手だ。▲7七角には△3三角で受けるケースが多い。 *石橋天河は「序盤は飛車よりも角」と判断している。 *現地では、関係者向けに先崎学八段の大盤解説が行われている。 *△3二金を見て先崎八段は「へえー、見たことがない。不思議な将棋ですね。その前の△2二飛では△2二銀がよくある手です。▲7七角には△3三角が普通だが、▲同角成△同桂▲3七銀や単に▲3七銀から速攻の狙いがあります。「開始早々、見たことがない変化になりましたね。どちらがいいのでしょう。わかりません」 21 2二角成(77) *5分ほど考えて飛車を取る。 22 同 銀(31) 23 7七銀(88) *大事な手。すぐに▲2四歩△同歩▲同飛は△5五角▲3七桂△3三角打の反撃を食って、先手がまずい。 24 3三銀(22) *消費時間は中井17分、石橋20分。 *石橋天河は前傾姿勢になって考えている。 *▲4一飛は△3一角で飛車を捕獲できる。 25 5八金(49) 26 3一金(32) *一段金は飛車打ちに強い形。しかし、石橋天河は△4四銀と使いにくいのがネック(▲2四歩がある)。どのような構想を立てているのだろうか。 *中井六段は▲3七銀や▲4六歩、▲8八玉が考えられる。 27 4六歩(47) *先崎八段は「中井さんの方は▲4六歩、▲4七銀、▲3七桂と自然に駒を進めて、悪くないのではないか。ゆっくりした戦いとなると、後手は左側の金銀を中央に使いづらく、まとめにくい。また後手は銀冠にもしづらい。△8三銀、△7二金の形は、いかにも飛車打ちのスキができそうです」と解説。先手持ちのニュアンスだ。 *石橋天河は飛車を好所に打たれないように気をつけながら指さないといけないため制約が多い。 28 8四歩(83) 29 4七銀(48) *「角2枚を持っていても、先手陣に打ち込みのスキがないですからね…。しかし石橋さん、斬新な指し方です。うまくいくかも知れないけれど、リスクは高いですね」(先崎八段) 30 8三銀(72) *石橋天河は銀冠に組み替える。 *金銀2枚の片銀冠でも堅くて遠いことが分かったことは、角交換振り飛車の流行をうながし、序盤戦術の進歩につながった。 31 6六歩(67) *両対局者とも、時々せき込んでいる。風邪気味らしい。 *ここ数日は30度以上あった気温がグッと下がり、急に秋らしくなってきた。体調管理が難しい時期だ。 *石橋天河が考慮中に14時。消費時間は中井六段27分、石橋天河33分。 32 7四歩(73) *石橋天河は△7四歩を指してミネラルウオーターを飲む。このミネラルウオーターは、美味しい・安心をお届けする食の百貨店サイト 安心堂百貨店で購入できる。 *【安心堂百貨店】 *http://www.anshindo-d.jp/ 33 3七桂(29) *中井六段は自然な駒組み。▲4五桂から▲2四歩を狙う。 *「このタイミングで△4四銀はあるかも知れませんね。今▲2四歩△同歩▲同飛には△1五角がありますから」と先崎八段。 34 4四歩(43) *後手は△5四角や△4三角、△7三角が攻防手になりやすい。 *先崎八段は「▲3七桂は積極的な手ですね。△4四歩とは突くと、いよいよ3三銀が使えなくなってしまう。しかし△4四歩と突かないで、▲4五桂で負かされてもしょうがないから、突くかも知れません」と解説していた。 35 5六銀(47) *中井六段の駒組みは、『中井広恵の駒の自然な使い方』の著者だけあって、自然でまったく無理がない。 *石橋天河は陣形を盛り上げていきにくいため、動かす駒が難しい。 *「中井さんは▲4七金と上がって、バランスよく指そうとしているのかも知れません。あまり玉を固めすぎると、角打ちのスキができてしまいますから。少し中井さんに余裕がある序盤戦に見えますね。自陣に二枚角を打ち込まれて、一気に破壊される展開にさえならなければ、というところです」と先崎八段。 36 7二玉(82) *石橋天河は12分ほど考えて指された。そのため、消費時間は中井36分、石橋50分と差がついている。 *玉を動かすことで、離れ駒をなくしたが、苦労を感じさせる手でもある。 37 6八金(69) *▲8八玉〜▲7八金と深く囲うと、5八金が浮いたり、△6九角のスキが生じたりする。 *▲6八金上は玉の堅さよりも、陣形のバランスを考えた手。 38 6二金(61) *後手も同様。▲5一飛は△4二銀で問題ない。 39 6五歩(66) *中井六段は6筋の位を取って、伸び伸び指す。 40 4一金(31) *故・大山康晴十五世名人を連想させる金使い。 *▲4五歩と仕掛けるのは、△7三角▲4七金△4五歩と進むのだろうか。 41 6六銀(77) 42 7三角打 *ついに自陣角を据える。 *残り時間は中井45分、石橋33分。 *14時45分、両対局者におやつとして、モンブランロールケーキとダージリンティーが出された。 *モンブランロールケーキとダージリンティーは、日本レストランシステムが経営している「モーツアルト」のもの。 *【モーツアルトのホームページ】 *http://www.cafe-cake-mozart.com/ 43 4七金(58) 44 8五歩(84) 45 6七銀(56) *「玉の守りは金銀3枚」といわれる。 *石橋天河は考慮中に残り30分を告げられた。 46 8二角(73) 47 5六歩(57) *次に▲5五歩と突ければ、8二角の利きが止まる。 *しかし、△5四歩も▲5八飛から▲5五歩が気になるところ。 48 9三角(82) *この手を見た中井六段は前傾姿勢になった。扇子をパチンと鳴らす。 *残り時間は中井32分、石橋25分。時刻は15時を過ぎた。 *放っておくと、△3九角から△6六角上がある。よって、▲5七金寄と固めたいところ。 *立会人の蛸島五段が対局室に入り、対局の様子を静かに見守っている。 49 5七金(47) *控え室では、▲5七金寄で▲5八飛が検討されていた。△3九角を消しつつ、次に▲5五歩と突いていく楽しみもある。「▲5七金寄も手厚くていい手ですね」(先崎八段) 50 5四歩(53) *「△5四歩は位負けを嫌いました。▲5五歩とされると、楽しみがなくなりますね」(先崎八段) *先手は▲7七桂が有力か。△7三桂なら▲4五歩と仕掛けやすい(△8二角が桂取りにならない)。 *中井六段が長考している。 51 7七桂(89) *▲8五桂の歩取りは表向きの狙いで、本当の狙いは△7三桂と跳ねさせて、9三角を8二に引いても使えなくすることにある。 *控え室では▲7七桂△7三桂に▲4五歩と仕掛ける順を検討している。そう進めば、堅陣で攻めている先手が十分だろう。しかし、▲7七桂に△8四銀も銀冠が崩れるため、形が悪くて指しにくい手だ。 *「形勢をいえば、中井さんの方が形が美しいので、先手を持ちたいというプロがほとんどでしょう。しかしまだ、駒がぶつかっているわけではないので、それほど差がついているわけではない。6−4ぐらいでしょう」(先崎八段) *石橋天河は考慮中に残り10分を切った。 52 8二角(93) *12分以上考えて指されたのは△8二角だった。残り時間は中井21分、石橋12分。 *石橋天河はゆっくりとした動作で紅茶を飲む。 *「石橋さんはうまく均衡を保たないと、あっという間に中井さんの勝ちになるかも知れません」(先崎八段) 53 8五桂(77) *この桂が大威張りできれば、先手満足だ。 *「桂の高跳び、歩のえじき」と言われるが、後手が歩を入手するのは大変だ。 *15時32分、石橋天河は残り10分を告げられた。中井六段は残り18分程度。 54 4二金(41) *石橋天河は、自分から動くのは難しい。中井六段が甘い球を投げてきたら、的確に打ち返すようにしたい。 *先手がジックリ指すなら▲1六歩や▲8六歩。テキパキ攻めるなら▲2四歩と▲3五歩を織り交ぜたい。 55 7五歩(76) *控え室では▲2四歩△同歩▲2五歩の継ぎ歩攻めが検討されていた。 *「あ、こっちですか。継ぎ歩で困っていたような感じがしましたけどね。▲7五歩△同歩▲同銀の1歩交換は味がいい。将来△8四歩に▲7三歩と打てるので、桂が死なないですからね。手堅い一手。そうして手堅くやっておけば、陣形の差で勝てるであろうと」(先崎八段) 56 4一金(42) *15時45分ごろ、残り時間は中井13分、石橋3分。 *中井六段が大きく息をつく。 *局面が緊迫しているからか、両者おやつには手をつけていない。 *「△4一金でしたか。これは異例の手ですね。ここはじっと力をためて、▲8六歩が味がいい。上から攻めたときに、後で必ず効いてきます。今でも▲2四歩△同歩▲2五歩もあるかも知れませんが、将棋はあっちもこっちもよくしようと思わない方がいい。1カ所良くなればいいんです」(先崎八段) 57 8六歩(87) *先崎八段の指摘通り、▲8六歩が指された。上から攻めるときの土台になっている。 *後手が金の屈伸運動をしている間に▲7五歩と▲8六歩の有効手が指せたので、損はない。 58 3五歩(34) *ついに決戦。残り時間は中井4分、石橋2分。 59 同 歩(36) 60 7五歩(74) *△7五歩を見て先崎八段は「石橋さん、勝負に出ましたね」。△3六歩を見せて、相手を焦らせる。 61 2四歩(25) *自陣の駒をさばこうとする。△2四同歩に▲3四歩△同銀▲2四飛が狙い筋。 *先手は3六歩〜△3七歩成で駒を取られながら、飛車を押さえ込まれるのは最悪。飛車をさばくのが良い指し方。 *「これはなるほど、当然の一手ですね。△同歩ならば▲3四歩。厳しいですね、これ。銀で取るほうが部分的な被害は少ないんですが、玉の方から離れていくのと、飛車切りの質駒になりますから。だからこの形はダメ、と。しかし、銀で取るよりしょうがないですか」(先崎八段) *16時前、ここで石橋天河は持ち時間を使い切り、1分将棋に入った。 62 3六歩打 *もう我慢ならない、ということで攻め合いになった。 *56手目△4一金としたことで、▲2三歩成△3七歩成▲3三とが金取りにならない意味もある。 *ここで中井六段も1分将棋に入った。 *「なるほど。しかし、これは▲2三歩成△3七歩成▲2六飛と進めて、2筋を突破している形。ここから先手先手で攻められます。▲7五歩からは、中井さんがすごくうまく指しましたね。石橋さん、ちょっと参ったかなあ」(先崎八段) 63 2五桂(37) *冷静に逃げる。 *「桂馬跳ねましたか。なるほど、これでもわるくないですが、▲2三歩成でよかったと思います」(先崎八段) 64 2四銀(33) *石橋天河は桂を逃げられてしまったが、代わりにと金の種を引っこ抜けた。 65 7三歩打 *石橋天河の顔が少ししかんだ。厳しい王手。 *「これも厳しいですね」。以下△同桂▲同桂成△同角▲8五桂△8二角▲7三歩△7一玉のときに、先手にいい手があれば終わりという形」(先崎八段) 66 同 桂(81) 67 同 桂成(85) 68 同 角(82) 69 8五桂打 *いわゆる「おかわり攻め」。角が逃げたら、▲7三歩とたたける。 70 8四角(73) * 「▲2五桂の代わりに▲2三歩成とされたら石橋さんがはっきりわるそうだったから、これは少しチャンスがあるかも知れません」(先崎八段) 71 7三歩打 *「中井さん、ちょっと焦っている感じもありますね。決め技があればいいですけれど、そうでなければ、ちょっと焦っているということにもなります」(先崎八段) 72 8二玉(72) *駒音高く指された。 *「玉を引くか寄るか、一利一害ですね。形は(8二に)寄ります。意外と先手から決め技はないかも知れません」(先崎八段) *△8二玉のデメリットの一つは▲2二飛が金取りになること。 73 4三飛打 *△3二角が粘っこいか。 *「形勢としては先手が手厚いことに間違いないですが、ちょっともつれましたね」(先崎八段) 74 3二角打 *△5二金上は▲2三飛成でいけない。金と2三歩を守って、△3七歩成に期待する。 75 4四飛成(43) 76 3七歩成(36) *と金が出来て、差が詰まった印象を受ける。ただし、▲2二歩が厳しいため、後手有利というわけではない。 77 2九飛(28) *「まだまだ先手がいいけれど、これは第2ラウンドですね」(先崎八段) 78 7四桂打 *次に△4七と▲同金△6六桂▲同銀△3八銀と進めば、飛金両取りとなる。 *「これは意外と難しいですね。▲2五桂からちょっと中井さんが乱れましたか。(△7四桂を見て)これはもう、ラストスパートの勝負ですね。結構いい勝負。「▲7七銀と逃げるのが一番いい手なんだろうけれど、急所で後手を引いて、やりづらいですね」(先崎八段) 79 7七銀(66) *59まで読まれて指された。 *何かないか。石橋天河の表情は険しい。 *「ここで逃げたのはさすがですね」(先崎八段) 80 5二金(41) *△4三金▲4五龍△4四歩までの「龍の詰めろ」。 *▲3四龍か。 81 5五歩(56) *※▲3四歩が良かった。 82 4三金(52) *▲4四飛成、▲2九飛、▲7七銀と先手の駒が下がっているのに対し、後手の駒は△5二金上、△4三金などのように前に伸びてきている。 *駒の勢いは後手に利あり。 83 4五龍(44) 84 4四歩打 *「(81手目)▲5五歩はちょっと元気がない手ですね。形勢逆転したかも知れません」(先崎八段) 85 5六龍(45) *秒に追われ、慌てて指す中井六段。 86 5五歩(54) *ノータイムの石橋天河。 87 同 龍(56) *中井六段、大きなため息をつく。 *「これは中井さん大ピンチ。将棋は序盤から苦労してよくしても、すぐ逆転されちゃうことが多いんですよ」と苦笑する先崎八段。 88 5四金(43) *「これは逆転ですね」と先崎八段は断言。 * 「龍が死んじゃうのはひどいですね」 89 5六金(57) *対局室に立会人の蛸島五段が入室した。 90 4七と(37) *先手の攻めは▲2二歩くらいしか見当たらない。 *「△5五金と龍を取らない方がいいですね。どうせ死んでますから、あわてて取ることはない。△4七とが厳しいです」(先崎八段) 91 5四龍(55) 92 同 角(32) *△3八飛〜△7六歩▲同銀右△5七とが厳しい。 *「しかし先手は、玉の周りに金銀がたくさんいるから、まだまだすぐに負けるわけじゃない。▲2二歩と打って、寄せてくれと開き直りますか」(先崎八段) 93 9五歩(96) *「驚きましたね。この将棋は逆転しないと思ったんだけど」(先崎八段) 94 7六歩(75) *決めに出たか。 * *※ここでは後手が優位に立っていたので、△9五同歩と丁寧に面倒を見るほうが良かった。以下▲9四歩なら△同銀▲5五金△3六角と受けておく。 95 同 銀(77) 96 5七歩打 97 5九歩打 *▲7五金や▲2二歩を楽しみに辛抱する。 98 8六桂(74) *△5七歩▲5九歩の交換が入ったため、▲7七玉には△7九飛、▲8七玉には△8九飛と王手できる。 99 8八玉(78) *よって、一段目に飛車を打たれない場所に逃げる。 *1分将棋とあって、両者厳しい表情だ。 *「▲8八玉には△3八飛が厳しいですね」(先崎八段) 100 3八飛打 *「形は▲7七玉です。ほかの手は大差になっちゃうんで、玉を上がるしかない。ここで決め技があるか」(先崎八段) 101 7七玉(88) 102 5八歩成(57) *「これは何ですか?」。先崎八段は△9五歩と落ち着いて手を戻す順を検討していた。 *▲5八同歩△5七歩▲同歩△5五歩には▲6六金がある。 103 同 歩(59) 104 5七歩打 *この瞬間が重いので不安はあるが。 105 8六玉(77) *「玉の早逃げ」+▲7五桂を見て攻防。また、△5八歩成に▲7七金とかわせる。 106 5八歩成(57) *「△5八歩成の瞬間は重い。これで勝ちかということもありますが、後手の指し方は正しかったとは言えないでしょう。ん、これは勝ちとは言えないかも知れませんよ」(先崎八段) 107 9四歩(95) *突然、先手玉が手厚くなった印象。 *▲9三歩成や▲9三金でさらに開拓できる。 108 9二歩打 *▲9四歩△9二歩の交換は先手がかなり得をした。さらに攻めるなら▲7五桂だろう。 *「9二歩? うーん、仕方がなかったですか」(先崎八段) 109 7二金打 *両者、ほおが紅潮している。 *△同銀なら▲7四桂のパンチが入る。 *「▲7二金はどうでしたか。最高の迫り方ではないような」(先崎八段) * *※▲7五桂が良かった。以下△7四銀に▲8三歩△7一玉▲5三歩が次に▲5二歩成(▲8二金の詰めろ)を狙って厳しい。 110 同 金(62) 111 同 歩成(73) 112 同 玉(82) *玉を5筋へ逃がそうとする。しかし、▲5五金の筋も見えている。 113 7五桂打 *金をはがしてから▲7五桂と絡んでいく。 *「ここで打つなら▲7二金と打つ前、狭い形で打つ方が効果が高いですよね」(先崎八段) 114 7四銀(83) *高い駒音で着手された。中井六段はいいタイミングで▲5五金と攻めを厚くしたい。 *▲7三歩には△6一玉。 115 5五金(56) *ここで。しかし、△7五銀からの殺到が見えていて、非常に怖い。大丈夫なのか。 *石橋天河、天をあおぐ。 *「△6八と▲5四金△6七とで、後手玉は詰まないような。おそらく詰まない。第一感詰まない」 116 7五銀(74) *勝負に出た。石橋天河は王手をかけながら玉を安全にしようとしている。 * *※惜しくも敗着となった。△6八と▲5四金のタイミングで△7五角(角から行くのが急所。本譜の▲7六玉がない)▲同銀△同銀▲同玉△8三桂…と攻めていって、詰んでいたようだ。 117 同 銀(76) 118 同 角(84) *ビシッと力強い手つきで指された。 *「これは最後でもう一波乱来ました。どちらが勝ちなのか」(先崎八段) 119 7六玉(86) *後手玉は▲7三銀△8三玉▲8四歩以下詰めろになっている。 *「これは難しいです。自玉が詰まないことを優先させた」 120 6四桂打 *▲同金は△同角▲7三銀が予想される。 *「△6四桂▲同金△同角▲7三銀は、後手玉は詰まないかもしれないけれど、先手が勝ちますね。ひっくり返ったかな」 121 7五玉(76) 122 7四歩打 *ノータイムでバシッ。 *先手玉は詰みはなさそうだ。 123 8六玉(75) *中井六段は「いやー」と言いながら逃げた。△7五銀▲9七玉△8六金▲9八玉は駒が足りない。 *「石橋さんは相当間違えました。中井さんの勝ち筋に入っているんでしょう。▲8六玉の瞬間にいい手があるかどうか」 124 7五金打 *桂を抜いて、クリンチに出る。 *「解説が追いつかない終盤になりました」(先崎八段) *1分将棋の解説としては冷静なコメントだ。盤側では、何が起きているのか分からない。 125 9六玉(86) 126 8四銀打 *玉頭戦は厚みが大事。金銀を置いて、寄せにくい形にした。 127 7三銀打 *「これは少しあわてましたね。しかし、勝ちは勝ちですね」 128 同 銀(84) *▲同桂成△同玉▲5一角△6二桂▲8四銀の筋が厳しい。 *「(△8四銀を見て)これは中井さんがあわてなければ勝ちです」 129 同 桂成(85) 130 同 玉(72) *▲5一角のほかに▲8四銀もありそうだ。 131 5一角打 132 6二桂打 *石橋天河はここ数手、ノータイムで指している。 133 8四銀打 *▲5四金で勝ちと見られていた。 *「え、捨てた? これは簡単じゃないかも」 134 同 玉(73) 135 6二角成(51) 136 7三銀打 *後手玉は際どく詰まないようだ。 137 9五金打 138 8三玉(84) *先手は玉を厚くしてから▲5四金が詰めろになるように攻めたい。 139 6一馬(62) *「なるほど、▲8九飛△8六歩に、△6八とが詰めろじゃない、ということなのかな」 140 7二銀打 *どこかで▲8九飛が利きそうだ。タイミングよく指したい。 *「ここでも▲8九飛と回れるけれど、今度は△8四歩と打たれるかもしれない」 141 8四歩打 *「中井さんは▲8九飛が見えてないのかもしれない」 142 8二玉(83) 143 8七桂打 *石橋天河が座り直した。この手は詰めろではないが、金を取れば、玉が安全になる。 *△6一銀▲7五桂△同歩▲8三金△7一玉▲7三金となれば後手玉は詰めろ。 144 6一銀(72) *▲8七桂を見て「これは名手です」と先崎八段。 *「さすがでした。7五金がいなくなることによって、はっきりしました。もうひっくり返りません。▲8七桂は見えませんでした。いい手でしたね」。大絶賛の▲8七桂だった。 145 7五桂(87) *▲8三歩成や▲5四金が厳しい。後手玉は受けが利かない。 146 7二玉(82) *玉の早逃げだが、好機の▲5四金があるので後手玉は助からない。 147 8三歩成(84) *記録係の高崎さんが記録用紙の2枚目を用意した。そろそろ150手になろうとしている。 *▲8三歩成で先手陣は寄りがなくなっている。先手勝勢がはっきりした。 *ここで石橋天河投了となった。以下△6二玉▲5四金が▲5三角△5二玉▲4二金の詰めろで受けがない。終局時刻は17時3分。消費時間はともに1時間30分(チェスクロック使用)。中井六段が激戦を制して、3回目の優勝を果たした。 148 投了 まで147手で先手の勝ち