# ---- Kifu for Windows V6.29 棋譜ファイル ---- 開始日時:2009/02/01 10:00 終了日時:2009/02/01 13:55 棋戦:第1期天河戦 持ち時間:2時間 消費時間:107▲62△120 場所:駒込サロン 手合割:平手   先手:成田弥穂女子アマ王位 後手:中倉彰子初段 手数----指手-- *NTTル・パルク杯第1回天河戦。本戦トーナメント1回戦、中倉彰子初段−成田弥穂アマ戦。持時間は各2時間、秒読みは60秒。10時対局開始。 *振り駒はと金が3枚で成田さんの先手に決まった。本局の記録係はアイリスの泉對直子さん。 *開始10分前、中倉が駒箱を開き王を5一に据え、その後交互にゆっくりと駒を並べた。 *(棋譜・コメント入力=桜木) 1 5六歩(57) *泉対さんの開始の合図に両者一礼。成田さんはしばらく目を閉じた後、初手▲5六歩を着手した。得意の中飛車を宣言している。先に▲7六歩は△3四歩のあと中飛車に振りにくい。 2 8四歩(83) *一呼置いたあと、中倉は飛車先を突いた。 3 7六歩(77) *成田弥穂(なりたみほ)さんは宮城県在住の中学2年生。LPSAが主催する女子アマ王位戦で優勝し、本棋戦の参加資格を得た。そのほかにも第28回・第29回の中学生選抜選手権女子の部優勝や第38回女流アマ名人戦で準優勝するなどの活躍。趣味はピアノ・空手(二段)。得意科目は数学という。 4 8五歩(84) *中倉は1977年3月2日生まれ。東京都府中市出身。6歳で将棋をはじめ1991・92年に女流アマ名人戦で連続優勝。 *居飛車・振り飛車ともに穴熊を得意とする。テレビ番組の司会・聞き手やイベント司会などで活躍している。 *自身のホームページ「positive-girls.net」の名が表す通り、"ポジティブ"が合言葉。妹の中倉宏美女流二段とともに、姉妹棋士として映画「とらばいゆ」(2002年大谷健太郎監督)のモデルとなった。座右の銘は「苦しいときは進歩しているとき」。趣味はテニス、絵画鑑賞、英会話。2児の母。夫は日本将棋連盟棋士・中座真七段。 5 7七角(88) *成田さんは予選で船戸陽子二段、中倉宏美二段を降し2連勝での本戦トーナメント進出。いずれもゴキゲン中飛車で女流棋士側は居飛車穴熊だった。船戸二段戦は序盤でリードを奪い、大山康晴十五世名人を彷彿とさせるていねいな受けを見せて快勝。中倉宏二段戦は鋭い攻めを喫して苦しい展開となったが粘り強い指し回しでチャンスを待って逆転勝ち。棋譜は中継サイト内のリンクからご覧になれます。 6 5四歩(53) *早めの△5四歩で5筋位取りを拒否した。角道を保留した駒組みに中倉の工夫がうかがえる。 *成田さんの予選2局はいずれも5筋位取り中飛車で、居飛車穴熊相手に2連勝している。本局はその形を封じている。 7 6八銀(79) 8 6二銀(71) *中倉の公式戦の今期成績は2勝3敗、0.400。通算成績は75勝103敗、0.4213。予選は2勝1敗(藤森奈津子三段に○、中井広恵六段に●、蛸島彰子五段に○)で通過しての本戦進出。妹の中倉宏美二段が予選で成田アマに敗れており、かたきをとりたいところだろう。 9 5八飛(28) *成田さんはやはり得意の中飛車へ。 10 4二玉(51) *中倉はブラック系のジャケットにパンツ姿。メガネをかけている。 *成田さんは中学校の制服姿での対局。 11 4八玉(59) *成田さんは昨日、宮城県からお母さんと一緒に上京した。雪のために交通が心配だったとのこと。 12 3四歩(33) *中倉はここで角道を開けた。▲5五歩△同歩▲同飛と交換される順を消している。 13 3八玉(48) *対局場は東京のLPSA「駒込サロン」。 *本日の東京は気持ちのよい快晴。窓の向こうに青い空が広がっている。 *本局と並んで石橋幸緒女流王位−北尾まどか初段戦、島井咲緒里初段−松尾香織初段戦が行われている。いずれも天河戦本戦1回戦。 14 5三銀(62) 15 2八玉(38) 16 7七角成(22) *中倉から角交換。 17 同 銀(68) *自然に銀で取れる形なので先手もスキがなく、不満はない。 18 6四銀(53) *5筋を銀で受ける。 19 3八銀(39) *成田さんは自分の将棋を「どちらかというと攻め将棋」と分析している。しかし、振り飛車らしく攻めを待つ姿勢や、長引くことを苦にせずていねいに面倒を見るところなど受けに特長があるように思われる。 20 3二玉(42) *中倉の駒組みがひとつの焦点。3二玉の舟囲いのまま盛り上がるか、堅い囲いを目指すか。 21 8八飛(58) *淡々と指し進める成田さん。△5七角の打ち込みは▲6六角の合わせがあって無効。 22 4二銀(31) *中倉は手厚く金銀を繰り出す作戦。左美濃や穴熊では偏り過ぎと見たか。 23 6六銀(77) *左の銀を中央に使うための▲8八飛だった。この局面での△8六歩を受けている。 24 2二玉(32) *中倉はさらに駒組みを進める。 25 1六歩(17) *端歩を突いた後、成田さんはペットボトルのお茶を一口飲んだ。 26 1四歩(13) *位負けはできない。端歩を受けた後、呼吸を合わせるように中倉もお茶を一口飲んだ。 27 2六歩(27) *▲2六歩は銀冠の完成を急いだ指し方。▲4六歩〜▲4七銀〜▲3八金の片美濃よりも銀冠のほうが堅いとされている。 28 3二金(41) 29 2七銀(38) 30 3三桂(21) *積極的に桂を跳ねた。珍しい形だ。 31 3八金(49) *まずは銀冠の形を完成させた。 32 7四歩(73) *桂の活用や△7五歩の筋を見せる。ただお互い角を持っているのですぐに動くことは難しい。 *ここまでの消費時間は成田さん9分、中倉21分。 33 3六歩(37) *ほとんど音を立てず、すべらせるように歩を突いた。先手陣は自然な駒組み。 34 4四歩(43) 35 3七桂(29) 36 4三銀(42) *銀を上がって形を整える。桂頭もカバーできた。着手後、中倉は席を立った。 37 4六歩(47) *中倉が戻る前にゆっくりとした手つきで成田は歩を突いた。席に戻ってきた中倉に成田さんは「指しました」というように4六を示す。中倉は「はい」と応じた。 38 7三桂(81) 39 7七桂(89) *お互い左右の桂を跳んだ。 40 9四歩(93) 41 9六歩(97) *お互いの陣形が似ていること、歩を持っていないことで戦いのきっかけをつかみにくい局面。動かす駒が難しいのか、中倉は腕組みをして考えている。△5二金と玉側に近づけたいが▲4五歩△同歩▲3五歩△同歩▲7一角が生じてしまう。 *消費時間は成田さん14分、中倉31分。開始から45分が過ぎた。 42 5二金(61) *中倉は10分以上考え、意を決したように△5二金と上がった。ピシっと高い駒音だった。 43 8九飛(88) *成田アマは少考後、静かな手つきで飛車を引いた。その後「失礼します」ペコリと頭を下げて席を立った。 *▲4五歩の仕掛けは不満と見たか、あるいは急ぐ必要はないと判断したか。▲4五歩△同歩▲3五歩に△4四角くらいでも難しいか。 44 4二金(52) *中倉はさらにひとつ金を近づけた。玉が堅くなった半面、金銀が偏ったため角打ちのスキをさらに警戒する必要がある。 45 7八金(69) *こちらへ。▲5八金は△7八角▲8八飛△6九角成とされてしまう。玉の反対側なので不満でもあるが、8筋をケアしたので▲5九飛や▲4九飛と使える意味もある。 46 5二金(42) *再び5二へ。中倉は後手番なので千日手模様も視野に入れている。 *開始1時間を過ぎた。消費時間は成田さん18分、中倉48分。 47 1八香(19) *香を上がる。▲1九飛と回る形を見せたものか。確かに後手陣は1筋が薄い。 48 6二金(52) *今度はこちらへ。次に△8一飛とすれば好形だが、この瞬間は怖いところ。▲8六歩△同歩▲7一角という強引な攻めも見える。以下△7二飛▲6二角成△同飛▲8六飛。ただ成否は微妙なところ。 *成田さんの手が止まり、10分以上の考慮に沈んでいる。 49 1九飛(89) *成田さん、長考の末1九へ。初志貫徹というところか。 *消費時間は成田さん37分、中倉50分。 50 8一飛(82) *飛車を引いてひと安心。遠く1筋の応援にも利いている。 51 1五歩(16) *ほとんど音を立てずに▲1五歩。ついに歩がぶつかった。 52 同 歩(14) *すぐに△1五同歩。 53 同 香(18) 54 同 香(11) 55 同 飛(19) *パタパタと手が進む。 *ここで中倉の手が止まった。消費時間は成田さん39分、中倉58分。 *△3五歩という筋もあるのだろうか? ▲3五同飛は△2四角、▲3五同歩は△6九角▲6八金△1四香の狙いだが。△3五歩に▲1九香くらいでうまくいかないだろう。  56 1三歩打 *時間を使ったが、自然に歩を受けた。 57 1九飛(15) *この手を怠ると△1四香で飛車の行き場がなく終了してしまう。記録の泉對さんが「中倉彰子女流初段残り60分です」と読み上げた。成田さんは1時間21分を残している。香を持ち合い、成田さんはさらに1筋の歩を駒台に載せた格好だ。 58 8六歩(85) *背筋を伸ばし、口もとに手を当てて考えていた中倉、しばらくして飛車先を突いた。 59 同 歩(87) *成田さんはすぐに▲同歩と応じる。香を持っているので△8六同飛とはできないだろう。▲8八香△7六飛▲8七金で捕獲できる。 *中倉が考えている。残り時間は成田さん1時間20分、中倉43分。 *間もなく12時になろうとしている。 60 5一飛(81) *中央へ転回した。中倉の残り時間は38分。成田さんは1時間18分を残している。 *12時5分、中倉は「指されたら休憩に入れてください」と記録の泉對さんに告げて席を立った。昼食休憩は12時10分からなので、成田さんが指せば残りは中倉の考慮時間に足される。となりの石橋−北尾戦はすでに休憩に入っている。 *成田さんは定刻の12時10分まで考え、「休憩でいいんですよね」と確認してから席を立った。再開は13時から。 *残り時間は成田さん1時間11分。中倉38分。 61 7五歩(76) *昼食休憩の成田さんはお母さん、アイリスの笠井友貴さん、濱田かおりさん、泉對さんらとともに近くのレストランへ。時間が短く駆け足となったようだ。 *再開後、一呼吸置いてから成田さんは▲7五歩と動いた。△同歩は自然に▲7四歩で桂得になる。△7五同銀も▲同銀△同歩▲7四歩△7六歩▲7三歩成で一手早い。 62 5五歩(54) *少考後、中倉は中央から動いた。 63 7四歩(75) *構わず取り込んだ。 *▲5五同歩は△同銀とさばかれて、7八金が取り残される可能性がある。 64 5六歩(55) 65 7三歩成(74) *これで成田さんの桂得。 66 同 銀(64) 67 5五香打 *香で受ける。 68 8一飛(51) *先手は中央を収めてしまえば桂得だけが残る。▲6五桂と使うのも楽しみだ。 69 2五桂打 *成田さんの指し手は早い。得した駒で攻め込む。 70 2四角打 *角で受ける。 *残り時間は成田さん1時間6分、中倉21分。 71 5四歩打 *静かな手つきで歩を垂らした。△5七歩成▲同銀△5二歩としたいが、△5七歩成には構わず▲5三歩成とされてしまう。 72 6四銀(73) *銀を活用して受ける。 73 6五桂(77) *気持ちのよい跳躍。 *中倉は前傾姿勢で盤面を見つめている。 74 1四香打 *端を緩和する意味か。しかしここに使うのもつらい。 75 1六歩打 *成田さんは落ち着いている。▲5三歩成が確実なのであわてる必要はない。 76 6五銀(64) *桂を食いちぎった。▲同銀に△4六角と香に当てて攻めを催促する狙いだろうか。 77 5三歩成(54) *まっすぐ攻め込む。大きなと金ができた。 78 6六銀(65) 79 同 歩(67) 80 4六角(24) 81 1三桂成(25) *このタイミングで端に切り込んだ。角を出たばかりなので△1三同角とは取りにくい。 82 同 玉(22) 83 1五歩(16) *成田さんはここ数手ほとんど時間を使っていない。△1五同香に▲同飛は△1四歩で先手を取られそうだが、△1五同香には▲1四歩がある。以下△1四同玉は▲1五飛と走って詰み。 84 2二玉(13) *早逃げでしのごうとする中倉。 85 1三銀打 *強打を放つ。どちらで取っても▲1四歩がきつい。5三のと金は金銀を取らずに挟撃に使う意図だろう。 86 同 角(46) *※苦しいながら取らずに△3一玉がよかったか。 87 1四歩(15) *泉對さんが「中倉女流初段、残り10分です」と読み上げた。成田さんは1時間2分残している。 88 5七角成(13) *ヒモのついている位置に逃げた。 89 1三角打 90 2一玉(22) 91 5七角成(13) 92 同 歩成(56) 93 1三歩成(14) *成田さんは手順に2枚目のと金を作った。この手は詰めろではなさそうだ。駒を蓄えた中倉、うまい手段があるか。 *△4六桂は▲1二と△3一玉▲1三角が王手桂取りとなって利かない。 94 1八歩打 *一本たたいた。 *成田さんの残り時間が1時間を切った。中倉は残り7分。 95 4三と(53) *成田さんは少考で銀を取った。△1八歩も通さない。△1九歩成には▲1二銀△3一玉▲3二と△同玉▲2三とと追って詰みがある。△4三同金も▲2三とで受けがない。 *中倉残り3分。ここで中倉は持ち時間を使い切り、一手60秒の秒読みに入った。 96 5四歩打 *「57」まで読まれての指し手。 97 2二銀打 *ほとんど時間を使わず銀を打つ。 98 同 金(32) 99 同 と(13) 100 同 玉(21) 101 3二金打 *成田さんは落ち着いた手つきで金。 102 1二玉(22) 103 1三歩打 104 同 玉(12) 105 1八飛(19) *この飛車も使えた。 106 1四歩打 107 2二角打 *きれいに決めた。ここで中倉が駒台に手を置き「負けました」と投了を告げた。以下は△2四玉▲3三角成△1三玉▲2五桂と追って詰み。スキのない指し回しの成田さん、快勝でベスト4進出。次は石橋幸緒女流王位−北尾まどか初段戦の勝者と決勝進出を懸けて戦う。 *感想戦は15分ほど。中倉は声も小さく、肩を落としていた。 108 投了 まで107手で先手の勝ち