# --- Kifu for Windows V6.32 棋譜ファイル --- 開始日時:2009/03/17 10:00 終了日時:2009/03/17 16:25 棋戦:第1期天河戦 持ち時間:3時間 消費時間:108▲140△170 場所:駒込サロン 手合割:平手   先手:成田弥穂アマ 後手:中井広恵六段 手数----指手-- *中井広恵女流六段と成田弥穂女子アマ王位が対戦することとなった第1期天河戦決勝三番勝負。中井六段先勝を受けての第2局は3月17日(火)午前10時より、LPSA駒込対局場にておこなわれる。第1局の先手は中井六段。第2局は成田アマの先手となる。本局の記録係はアイリスの林沙苗さん。 * *(棋譜・コメント入力=青葉) 1 5六歩(57) *定刻10時、立会人の石橋幸緒女流王位の合図で対局開始。 2 3四歩(33) *中井六段は一昨日、大和証券杯で優勝したばかり。 3 5八飛(28) *成田さんといえば中飛車。 4 5四歩(53) *5筋位取りを防ぐ。 5 7六歩(77) *角交換辞さずが現代振り飛車。 6 6二銀(71) *飛車先の歩を伸ばすのは保留して、まずは駒組を優先。 7 7七角(88) *いかにも現代風の序盤戦。 8 4二玉(51) 9 6八銀(79) 10 5三銀(62) 11 4八玉(59) *第1局に引き続き、東北放送のスタッフが成田さんの模様を取材に訪れている。開始からしばらくして、取材スタッフもいったん退席。 12 8四歩(83) 13 5七銀(68) 14 3二玉(42) *開始から15分経過。ここまでの消費時間は成田6分、中井9分。 15 3八玉(48) 16 4二銀(31) *振り飛車に対して、ほとんど穴熊に組まないのが中井流。 17 2八玉(38) *あくまで角筋を通したまま駒組みを進める。 18 8五歩(84) *次に△7七角成▲同桂△8六歩▲同歩△8七角などの筋がある。 19 6六銀(57) *▲6六歩では消極的。いったんは角筋を止めつつも、積極的に銀を出る。 20 4四銀(53) *▲5五歩からの動きを受ける。 21 3八銀(39) *振り飛車の基本は美濃囲い。 22 1四歩(13) 23 1六歩(17) 24 6四歩(63) *歩越し銀には歩で対抗。 *開始から30分が経過した。ここまでの消費時間は成田12分、中井18分。 25 4六歩(47) *中央は対称形。一般的に振り飛車側がこの筋の歩を突くと、美濃囲いの強度が高くなると言われる。 26 6二飛(82) *方向転換。次に△6五歩と突けば、好位置に座る先手の銀を追うことができる。 27 5九金(69) *俗に「ヒラメ」と言われる金寄り。中飛車の場合には、左金は5八に上がれないことが多く、活用には工夫が必要となる。 28 5一金(61) *対して中井六段も金を寄せる。△5二金右と上がれるところで、△5二飛の余地などを残したか。 29 4八金(59) *開始から1時間経過した時点で、消費時間は成田25分、中井35分。 *先手の理想は▲4七金の高美濃。中飛車は古くから人気のある戦法であったが、現代の大ブーム後、驚くほどに戦術が発展した。両陣営の細部を見れば、一昔前には現れなかった局面であろう。 30 3五銀(44) *角筋を通しながらの動き。次に△6五歩と突けば、角交換は必至。また4六歩取りをどう受けるか。成田さんの身上は中盤のセンス。ここは考えどころか。 *今日の駒込は曇り空。駒込サロンの窓の外に目を向ければ、渡辺明竜王、宮田敦史五段、金井恒太四段の出身校である聖学院の生徒さんの姿が見える。 31 5五歩(56) *いよいよ開戦。△6五歩には▲7五銀と出て勝負か。 * *※「いい決断でしたね」(石橋女流王位) 32 6五歩(64) 33 5四歩(55) *最も激しい決戦策。△6六歩▲5三歩成と進んで、果たしてどちらがいいのか。 34 6六歩(65) *否応のない進行。 35 5三歩成(54) *この踏み込みの激しさは、若さの特権か。 36 6七歩成(66) *時刻は午前11時半を過ぎたばかり。持ち時間3時間の対局にしては異例の早さで、目がくらむような激しい流れとなった。成田さんが取ろうとしている駒は4二銀か。それとも6二飛か。一直線に駒を取り合うのであれば、(1)▲6二と△5八と▲5一とに△4八と▲4一と△3八と▲同金。こうは進まないだろうが、読みきれそうな局面ではある。△4八とでは△4九とがありそうだ。石橋女流王位は(2)▲2二角成△同玉▲5四飛を予想。「いい勝負だと思います」。時刻はそろそろ12時。ともかくも、昼食休憩をはさんで考えるのが最善か。 *立会人の石橋女流王位が「12時になりましたので昼食休憩に入ります」と告げ、昼食休憩に。消費時間は成田1時間10分、中井50分(チェスクロック使用・持ち時間各3時間)。対局再開は13時。 37 2二角成(77) *13時、石橋女流王位の合図で対局再開。成田さんの次の一手は、石橋女流王位予想通りの角交換。 38 同 玉(32) 39 5四飛(58) *成田さんの実力をうかがわせる進行。第1局に引き続き、好勝負が期待できそうだ。 *今度は中井六段が考える番。 * *※「ここは踏み込まれてまずかったと思いました」(中井六段) 40 5三銀(42) *飛車を取られては駒損となる。 41 同 飛成(54) *これで駒の損得はなし。居飛車側から見れば6七とは残っているが、自玉は薄い。振り飛車ペースと見る人がいてもおかしくはなさそうだ。 *駒込サロン近所の聖学院小学校は、本日卒業式。午前中は遠くからにぎやかな声も聞こえてきたが、現在は静か。午後の対局再開後は、中井六段が一方的に時間を使っている。時刻は14時を過ぎた。消費時間は成田1時間10分、中井1時間50分。 42 5七歩打 *中井六段は約1時間の長考で、歩を垂らした。中井六段が着手後に席を立った後、成田さんは表情を変えずに盤を見つめていた。成田さんはまだ中学2年生(4月から3年生)だが、とてもそうは見えないほど落ち着き払っている。 *▲5九歩と妥協するのであれば、この交換は後手が得したことになるだろう。 43 6二龍(53) *妥協をせず、小考で踏み込む成田さん。これでよければわかりやすい。 44 同 金(51) 45 8二飛打 46 6一歩打 *金底の歩、岩より堅し。この外壁がどこまで時間を稼げるか。 47 5九歩打 *ここまで決めて、成田さんは手を戻す。ほどなくして「中井六段、残り60分です」の声。成田さんは残り1時間40分。 48 6六角打 *攻防急所のラインに角を配する。 49 8三角打 *攻防の角の打ち合い。次に▲6一角成がすんなり実現すれば先手がよさそう。 * *※代わりに▲5三銀だったか。△5一銀ならば▲6三角△3二金▲4一角成で本譜より優った。 50 5八歩成(57) *成り捨て。中井六段はしきりにため息をついている。 51 同 歩(59) 52 4八角成(66) *攻め合い、ではない。 53 同 金(49) 54 7一金打 *これが狙いの一手。部分的には先手の飛車は助からない。 * *※これで後手が粘れる形を作れた。 55 6二飛成(82) *この一手か。 56 同 金(71) *駒がふり替わってゆく。 57 5六角成(83) *攻防に引きつける。馬を作ればそう簡単に負けないのが、将棋というゲーム。 58 6九飛打 *と金にひもをつけながら、△3九銀を見せる。 59 4九金打 *金を取られて取って、再び美濃囲いが復元された。 60 3三銀打 *互いに自陣に駒を埋め合う。玉の斜めのラインを閉じながら、3四の地点を補強。駒の損得はほぼ互角だが、こうなれば後手のと金が大きいか。後手の二枚飛車での攻撃が見えているだけに、先手はゆっくりとはできない。 * *※ここでは後手が持ち直している。 61 4五銀打 *これもまた成田アマの実力を示した一手か。次に▲3四銀出を見せて、相手の出方を問う。 62 5一飛打 *馬に当てての自陣飛車で、▲3四銀とは出させない。早い段階で中盤戦に入って以降、力のこもったねじり合いが続いている。中井六段はしきりに大きく息をつく。成田さんは終始落ち着いたまま。 63 5四角打 *直接的には8一桂と4三の地点を狙い、間接的には5筋を直射している5一飛の利きを重くする。第1局に続いて、本局もまた大熱戦となった。 * *※△4四歩もあるが、▲2一角成△同玉▲3四銀で、後手よしであろうが気持ちのわるいところ。 64 3二金(41) *こちらを受けた。 65 8一角成(54) *15時10分を過ぎた。残り時間は中井35分、成田1時間14分。 66 6八と(67) *なるほどそんな手が、と思わせるステップ。次に△5九とを見せつつ、馬の利きから逃がした。 67 5五桂打 *中井六段が席を立った後、成田さんは着手。飛車の利きをさえぎりながら、得した桂を打った。中井六段が席に戻ってきた後、成田さんは小さな声で「指しました」。中井六段も小さな声で「はい」とうなずく。 * *※この手が敗着か。結果的にはこの桂を取られてからの△6三桂が厳しかった。ただし代わりにどう指すかとなると難しい。ここでは後手がよさそうだ。 68 4四銀(35) *銀を引いて当てる中井六段。 69 5四銀(45) *銀をかわして進める成田さん。 70 5五銀(44) 71 同 馬(56) *これで駒割は成田さんの銀得。 72 5九と(68) 73 3九金(49) *ここ数手はバタバタと進んだ。 *15時半の時点で、ライブ動画の視聴者数は300人を超えている。平日昼間での記録としては驚くべき数字。2月28日(土)におこなわれた第1局では、終局時前後で約450人ほどだった。 74 6三桂打 *駒音がしてPCのモニターから盤面に目を移し、さてどこが動いたのか、すぐにはわからなかった一手。8一馬の利きをさえぎりながら、5五馬取り。5四銀を助けながら逃げるとすれば、どこか。(1)▲4五馬は、さらに△4四歩▲3六馬△3五歩と馬を追撃されそうだ。(2)▲6五馬とこちらに寄るのは、△5八と▲同金△5三歩(△6四歩は二歩)もありそう。後手の5一飛と6九飛がよく利いていて、先手は駒を損しそうだ。成田さん、ここは長考か。残りは1時間を切った。中井六段は残り20分。成田さんの表情が少し険しくなってきたか。 75 4五馬(55) *約20分考えて、こちらに寄った。残りは47分。 76 4四歩(43) 77 3六馬(45) 78 3五歩(34) *さてここでどうするか。 79 4三銀打 *乾坤一擲! 80 3六歩(35) *当然馬を取る。以下▲3二銀成△同玉▲4三金△2二玉▲6三銀成△同金▲同馬△同飛成▲3二金と迫る順も怖そうだが、さすがに切れ筋か。 81 3二銀成(43) 82 同 玉(22) 83 4三金打 84 2二玉(32) *バタバタと進んでいく。時刻はちょうど16時。残り時間は中井17分、成田44分。 85 6三馬(81) *こちらから。よくもわるくも、もう行くしかない。 86 同 金(62) 87 同 銀(54) 88 5八と(59) *ノータイム。勝ちを読みきったか。 89 3二金打 90 1二玉(22) *中井六段勝勢で間違いないだろう。 91 4九金(48) *なるほど!と思わせる手稼ぎ。しかし冷静に応対すればやはり、中井六段の勝ちだろう。 92 同 と(58) *本局をネットで観戦中のある若手棋士も、中井六段勝勢と断言。後手玉は詰めろが続かない。 93 同 銀(38) 94 3七歩成(36) 95 同 桂(29) 96 3六歩打 97 3三金(43) *形作り。 98 3七歩成(36) 99 同 玉(28) 100 5七飛成(51) 101 4七桂打 102 2五桂打 103 3六玉(37) 104 4六龍(57) 105 同 玉(36) 106 4五金打 107 5七玉(46) 108 4六角打 *以下先手玉は即詰み。第1期天河戦決勝三番勝負は、中井広恵女流六段が2連勝で制した。 *終了時刻は16時25分。消費時間は成田2時間30分、中井2時間50分(チェスクロック使用・持ち時間各3時間)。 109 投了 まで108手で後手の勝ち