# ---- Kifu for Windows V6.29 棋譜ファイル ---- 開始日時:2011/03/10 10:00 終了日時:2011/03/10 17:06 棋戦:第3期天河戦三番勝負第2局 持ち時間:3時間 消費時間:146▲180△174 場所:芝浦サロン 手合割:平手   先手:石橋幸緒天河 後手:中井広恵六段 手数----指手-- *石橋幸緒天河に中井広恵六段が挑戦する第3期天河戦三番勝負は石橋天河の先勝で第2局を迎えた。石橋天河の防衛か、中井六段がタイに持ち込むか。注目の第2局は3月10日10時より開始される。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) ※は感想戦の内容。 1 7六歩(77) *石橋は第1局で▲2六歩△7二飛という珍しい作戦で勝利。本局はどのような戦型になるのだろう。 2 8四歩(83) *中井は居飛車党。第1局同様、初めに飛先の歩を伸ばす。 3 5六歩(57) *本局の記録係は第1局に続いて濱田かおりさん。 *現在、LPSAのアイリスのスタッフとして活躍している。 4 3四歩(33) *二人はミニブログのtwitterで情報を発信している。 *石橋は「明日へのタイトルコール。満開の季節だけを 僕は懐かしんでいてはいけない 盤上の木枯らしに震えても 冬を越えて花が咲く。明日も自分の将棋が指せますように」 *中井は「今日は戸田橋から富士山がクッキリ見えた。芝浦ドトールでコーヒーを飲んで、いざ出陣!」 *とそれぞれ意気込みを述べている。 5 5五歩(56) *早いもので、天河戦も第3期の番勝負。 *第1期は中井六段と成田弥穂さんが争い、中井六段が2連勝で制した。 *第2期は石橋四段(当時)が2連勝で中井天河から奪取した。 *いずれも2連勝で決着している。短期決戦ということで、先勝の利が大きいか。 6 6二銀(71) 7 5八飛(28) *石橋はサッと中飛車に構えた。 *5筋の位を取った中飛車は近年多く指されている。積極的な駒組みを進められるのが特徴だ。 8 4二玉(51) 9 4八玉(59) 10 3二玉(42) *三番勝負は、持ち時間が各3時間(チェスクロック使用)。使い切ると1手60秒。 *持ち時間に余裕はあるが、予定の作戦とあってか二人の指し手は早い。 11 3八玉(48) 12 5二金(61) *中井は舟囲いに構える。後手の陣形が舟の形に見えませんか。その上に玉が乗っているイメージから舟囲いの名がついた。 13 2八玉(38) *スラスラ駒組みが進んでいく。飛車の配置を決めたら次は玉をどこに囲うかが重要となる。 *一般的に玉と飛は離しておく方が良い。飛車が攻めの主力なのでその近くが戦場となりやすいからだ。 14 4四歩(43) *居飛車が角道を止めると持久戦となりやすい。 *角が攻めに使いにくくなり、攻撃力が下がるからだ。 15 6八銀(79) *ゴキゲン中飛車の長所は、振り飛車側が角道を通したまま駒組みを進められること。 *なお、▲6八銀はいまが良いタイミング。▲2八玉のところで▲6八銀は△5四歩(▲同歩は△8八角成)とされる恐れがあった。 16 4三金(52) 17 5七銀(68) *石橋がここで席を立った。 *時刻は10時8分。 18 8五歩(84) *中井は3月20日に大和証券杯女流最強戦の決勝戦を控えている。 *ここで負けると、挑戦失敗に終わるだけでなく、その決勝戦への流れも悪くなってしまう。 19 7七角(88) *石橋はしばらく席を外していたが、戻ってくるとすぐに角を上がった。 *振り飛車の序盤で一番のポイントは、代償なしに居飛車側の飛先の歩を交換させないこと。△8五歩に▲7七角(石田流なら▲7六飛と受けることが可能)は必須の手だ。プロの将棋も基本の手を積み重ねて成り立っている部分もある。 20 3三角(22) *居飛車側は玉を深く(戦場から遠く)囲う場合は、2二角がつっかえている。そこで角をどかして玉を2二に寄せられるようにしている。 *居飛車は3二玉のままで指せば急戦、2二より深いところへ移動させれば持久戦になりやすい。 21 1八香(19) *石橋は穴熊を目指す。超持久戦の予感がする。 22 2二玉(32) 23 1九玉(28) 24 3二金(41) 25 4六銀(57) *3月21日に東京都府中市「ルミエール府中」にて第4回武蔵の国けやきカップ 女流棋士トーナメントが行われる。イベントも盛りだくさん。お近くにお住まいの方は、ぜひ観戦にいらしてください。 *http://joshi-shogi.com/kisen/1day/4th_keyaki.html 26 1二香(11) *中井も穴熊へ。 *今日の東京は風が冷たい。暖かい穴倉に潜りたい。 27 3六歩(37) *▲3八飛として、3筋から攻める狙いがある。角の頭は弱い。 28 1一玉(22) *ここまでの消費時間は石橋15分、中井7分。 29 2八銀(39) *攻める前に、風が入り込まないように隙間を埋める。 30 5一銀(62) *後手の穴熊は2二に角を引けるようにしておくのが駒組みのポイント。先に右銀を引きつけようとする。 31 3五歩(36) 32 同 歩(34) 33 同 銀(46) *△3四歩なら銀を引いておいて、歩を交換できたことに満足する。 34 4二銀(51) *中井も3筋の歩は受けない。 *▲3四歩と打たれても2二にシェルターがある。 35 3八飛(58) *本棋戦の協賛は株式会社NTTル・パルク。コインパーキングや住宅仲介サービスなどさまざまな事業を展開している。 *http://www.le-perc.co.jp/ 36 8四飛(82) *中井はドトールコーヒーの紙コップを持って対局場入り。 *ドトールコーヒーは2007年に日本レストランシステムと経営統合した。 *中井六段は昨年行われた第4回日レスインビテーションカップで優勝している。 37 5九金(69) *※▲3九金だと、△3八歩の筋があるのを嫌った。 38 6四飛(84) *ゆさぶりをかける。▲6六歩なら先手の角が使いにくくなって後手満足だ。 39 5八金(59) *先手が金の動きで1手損をしている。△6四飛は大したことがないと判断しているのだろうか。▲5九金左で▲3九金△6四飛▲5八金という運びなら穴熊がしっかりしていたが、▲3九金には別の展開になるものと思われる。 *再び石橋が席を立った。中井は盤上に没頭している。中井の考慮中に11時。消費時間はともに30分程度。 *△4五歩と突けば、角が使いやすくなるし、飛車の横利きも通ってくる。△7四歩から桂を活用したいのだが、▲9五角があって危険だ。次の▲6二角成が受からない。 40 5四歩(53) *11時13分、20分以上考えていた中井はスッと5筋の歩を伸ばした。手数はちょうど40。消費時間は石橋30分、中井43分と少し差がついた。 *「開戦は歩の突き捨てから」と言われるように、歩がぶつかってから中盤戦に入る。対局室の緊張感が濃くなった。 *▲5四同歩△同飛▲5五歩は普通の手順。しかし、△7四飛から△7六飛を見せられるのが気になる。後手から△5七歩や△5六歩とされるのも嫌みだ。11時30分、石橋が席を外す。ここはジックリ考えたいところ。攻めるなら▲3四銀が映る。 41 4六銀(35) *石橋は席に戻るや、パシッと駒音を響かせて銀を引きつけた。この手の消費時間は20分。 *5筋に戦力を集め、中井の動きに乗じようとしている。△5五歩なら▲同銀△7四飛▲5四歩といった展開になれば、いつの間にか5筋を攻めているのが先手側になる。読みと読みがぶつかっている場面だ。 * *※(1)▲3四銀△同金▲同飛△5五歩▲3五飛も有力だった。「こちらだったですね」と石橋。 *また、いま(2)▲3四歩△2二角▲4六銀もあり、△3三歩▲同歩成△同銀▲5四歩△同飛▲3五飛で難しい将棋。 42 7四飛(64) *11時46分、中井はチェスクロックを見て、△7四飛を着手する。これを見て石橋はすぐに「休憩に入れてください」と濱田さんに言い、席を立った。二人とも外食のようだ。昼食休憩時刻の12時まで石橋が時間を使ったことにして、消費時間を14分加える。ここまでの消費時間は石橋1時間4分、中井55分。対局は13時に再開される。 *12時50分には両者、席に戻った。対局再開を待っている。先ほど▲4六銀と引いたため△7六飛が受からない(▲3六飛が利かない)。代償を求めるなら3筋や5筋だ。 *「13時になりましたので、対局を再開してください」と濱田さんが宣言して対局が再開された。 43 5四歩(55) *石橋は対局再開後、ひと呼吸おいてから歩を取り込んだ。 44 7六飛(74) *すぐに飛車を走る。部分的には▲7二歩が反撃の手筋だが、△8六歩▲同歩△8八歩や△7四歩▲7一歩成△7三桂とされて困りそうだ。 *金銀の密着度は後手が良いので、石橋は攻め駒の効率のよい指し方を求められている。▲3五飛から▲8五飛を狙う指し方は考えられる。もし一方的に飛車を成り込めれば、駒の働きでリードできる。 45 3五飛(38) *ふわーっと軽い指し方で、▲8五飛を狙っている。石橋は右の壁を眺め、横目で中井の表情をうかがう。中井は盤上没我。 *ここでも(1)△8六歩は見える手だ。▲同歩△8八歩に▲8五飛か単に▲8五飛か。いずれにしても攻め合いとなる。石橋は▲5三歩成や▲3四歩で形を乱しながら攻めたい。中井は先手陣の離れ駒を狙いたい。 *(2)△4五歩は▲3三角成△同銀▲7七歩で飛車を押さえられてしまうのが後手は不満だ。 46 8六歩(85) *13時30分過ぎ、中井が8五の歩をつまみ、△8六歩を着手した。石橋はその様子をうんうんうなずきながら見ていた。 * *※▲同歩△8八歩▲8五飛△8九歩成▲7八歩△8八と▲8一飛成△7八と▲3五桂△7七と▲4三桂成△同金 *も検討されたが、先手自信なし。 47 3四歩打 48 2四角(33) 49 8五飛(35) 50 8七歩成(86) *互いに狙い筋が実現した。▲同飛なら△8六歩。 51 同 飛(85) *△8六歩と打たれると、▲同飛とは取りにくい(△7九飛が金桂両取りとなる)ので▲8八飛のつもりだろうか。 *消費時間は石橋1時間22分、中井1時間13分。時刻は13時35分。 52 8六歩打 53 8八飛(87) *一回は辛抱。しかし、飛車の働きに差がついてしまった。 *後手は△2二銀や△2二金から△4五歩▲同銀△7九角成とするのは勇気のいる指し方だ。 54 7四歩(73) *8一桂を活用させる。8八飛ににらまれているので、それをかわす意味もある。 *▲6八角から▲3五銀で角を捕獲しにいったり、▲4八金寄から▲8六飛を狙ったりするのが有力だろうか。 *石橋は前傾姿勢になった。ひざの上にはパンダ?柄のかわいらしいハンドタオルが置かれている。 *14時5分、中井が席を立つ。石橋が「はぁー」と大きく息をつき、左手を頭に当てた。険しい表情。中井が席に戻っても考え続けている。石橋の長考は30分を超え、残り時間は1時間10分を切った。何か誤算があったのだろうか。第1局では中井が先に時間を使っていたが、本局ではその逆となっている。 *14時18分、「石橋先生、残り1時間です」と濱田さん。石橋は「はい」と答える。 * *※△5六歩もあった。以下▲4八金寄にはさらに△3六歩とプレッシャーをかける。 55 4八金(58) *石橋は40分ほどの長考で金を寄せて陣形を固めた。大暴れできるようにしている。 56 5六歩打 *△4五歩▲同銀△5七歩成を見せて▲8六飛△同飛▲同角をけん制している。相手の動きをおさえる垂れ歩は参考になる。 *残り時間は石橋53分、中井1時間40分。 57 8六飛(88) *石橋、天を見上げて飛車交換を決行した。△同飛▲同角に△8八飛や△4五歩が厳しそうだが、後手の4枚穴熊にどう食らいついていくのか。 58 同 飛(76) 59 同 角(77) *残り時間は石橋45分、中井1時間35分。残り時間に2倍以上の差がある。 *飛車交換になった。このようなときに飛車を先着できるのは大きなアドバンテージ。△8八飛が角桂両取りとなる。 *石橋はペットボトルのお茶を紙コップについだ。 60 5七歩成(56) *軽い成り捨て。中井は湯飲みを持って席を立った。そして、自分でお茶をいれた。 * *※△5七歩成を後にしようとすると、▲3三歩成に△同金寄から攻め合いにくいのを嫌った。△5七歩成を利かせば攻め合いが可能。 61 同 銀(46) *先手は5七銀が3七にいれば、堅さが五分といえるのだが。しかし、勝負事で「れば」「たら」を言っても仕方がない。 62 7九飛打 *△5七角成▲同金△4九飛成が厳しい。先手の▲3九金とくっつけていない陣形をとがめている。いま▲3九金と受けても、△8九飛成が角取りと△3六桂の両狙いとなる。 *石橋は残り40分を切った。ここ数手、苦心の考慮が続いている。攻め合うなら▲3三歩成だろうか。△同角なら△5七角成が消え、△同金寄なら▲5三歩成が利く。3四歩を成り捨てることで、▲3九歩の底歩も用意できる。 *石橋は「はぁー」と息をついた。頬が上気している。石橋は残り30分を告げられた。中井は落ち着いた表情で盤面を見据えている。 63 5九飛打 *「2011年春、とことん粘りますよ宣言」の自陣飛車。▲4六銀と上がれれば、飛車が利いてくる。 *後手が調子よく攻めていたように見えたが、こう頑強に受けられてみると後手も簡単ではない。駒の損得はほとんどない。中井が前傾姿勢になったのは、もっとものことだ。 *石橋はコーヒーを用意した。 64 7六飛成(79) 65 9五角(86) *▲6二角成を見ているだけでなく、△7三桂〜△6五桂のさばきを消して一石二鳥だ。 66 8八歩打 67 4六銀(57) *駒音高く着手。飛車の利きを通した。 *△8九歩成は▲同飛で▲8一飛成が受けにくい。 68 6七龍(76) *渋い。▲6二角成には再び△5六歩と打てるようにしている。 *中井は、▲5九飛の自陣飛車には意表を突かれたと思われるが、そのあとの指し手は非常に落ち着いている。慌てない慌てない。 * *※△8九歩成は▲同飛△4六角▲同歩△3六桂に▲5三歩成△同金▲8一飛成で大変。先手は5筋に歩を受けられるのが大きい。 69 6八歩打 *残り時間は石橋22分、中井1時間11分。時刻はまもなく15時30分になる。 *急所の駒に働きかける。△8七竜なら△5六歩と垂らせない。 70 6四龍(67) 71 7七桂(89) *石橋は△6四竜に「おやっ」という表情を浮かべた。意外だったらしい。ともあれ、取られそうだった桂を逃がすことに成功した。うまくバランスを保つものだ。 72 4五歩(44) *角をさばこうとする。 73 5五銀(46) *石橋の駒音は高い。勝負勝負と迫っていく。 74 7五龍(64) 75 6二角成(95) *▲4四銀から▲5三歩成がかなりの迫力だ。角がさばけて、先手も面白くなってきた。 *15時42分、「中井先生、残り1時間です」と濱田さんから声がかかる。 76 6八角成(24) 77 4四銀(55) *ほぼノータイムで着手。手ごたえを感じている様子だ。こうなると、2つの垂れ歩が大きく△7七竜よりも▲5三歩成の方が厳しい。 *一回△5二歩が考えられる。 78 7七馬(68) 79 4三銀成(44) *石橋、食らいついた。 *中井はお茶を飲み、落ち着こうとする。しかし、「こんなはずでは…」という思いがあることだろう。60手目あたりでは、形勢を良くしようとしていた指し方だった。 *△同銀でも△同金でも▲5三歩成が利く。 80 同 銀(42) *中井は馬を自陣に利かして頑張るつもり。しかし、5三にと金を作られるのは痛い。先手のほうが楽しみの多い局面といえる。ガジガジ行くなら▲5三歩成△3四銀▲4二金の展開。 *石橋は残り時間が少なくなってきているが、読みを入れている。 81 5三歩成(54) 82 3四銀(43) 83 4二金打 *ガジガジ流きた。 *15時55分。残り時間は石橋13分、中井53分。 *△同銀▲同と△同金▲5一飛成の進展は、陣形差と大駒の働きの差で先手が良さそうだ。8一桂を取ることもできる。といって、△5九馬▲3二金△同銀▲5九金も後手陣が乱されているのがつらい。 84 同 銀(31) 85 同 と(53) 86 同 金(32) *中井は石橋の言い分を聞くしかなかった。 87 5一飛成(59) *石橋の手がしなった。7五竜よりも5一竜の方が働いている。 *62手目の局面からこうなると誰が予想できただろう。石橋の腕力恐るべし。 88 4一金打 *とことん粘る番は中井に移った。「石橋先生、残り10分です」と濱田さん。石橋は鋭い発声で「はい」と答える。 89 8一龍(51) *※▲3一銀が良かったようだ。△5一金▲同馬△3二金▲4二金△3一金▲同金にどう指すか。△5五馬が有力で、▲3七歩と受けてくれるなら▲3三歩の垂らしがなくなるため、後手は対応しやすい。 90 3六桂打 *石橋、桂打ちを見て3回うなずく。残り7分。 *先手も▲5四桂と打ちたいが、いまは△2八桂成▲同玉△5五馬が王手桂取りとなる。 91 3八金(48) *穴熊は2八が埋まっている状態が堅い。 92 5五馬(77) *△7八竜や△7九竜の楽しみがある。 *中井も手段を尽くして迫っている。 93 3七歩打 *石橋、チェスクロックをちらり見る。残り5分。もう少し時間が欲しい。しかし、ないものねだりをしても仕方がない。 *中井は残り45分。 94 7九龍(75) *すべての駒が働いた総力戦。どちらがリードしているのか盤側では分からない。 *後手の穴熊は薄いものの、詰めろがかかるまで時間がかかる。5五馬がよく利いている。 95 5九歩打 *石橋は「ふぅ」と息をつきながら底歩を打った。 *△5八歩は確実な攻め。しかし、△5九歩成〜△4九とと金を取っても詰めろにならないので不安いっぱいだ。いわゆる「3手スキ」の攻めだ。 *「終盤は駒の損得よりも速度」と格言は教えている。 96 2八桂成(36) 97 同 金(38) *△3六歩が利けば先手陣を攻めやすくなる。 *中井、「ふぅ」と息をつく。時刻は16時16分。 98 7八龍(79) *パシッという駒音が対局室に響く。 *後手に桂が入れば、△2八竜▲同玉△3六桂で詰み。よって▲5三桂は利かない。現状でも△3六歩が厳しい攻めだ。 *石橋、左手を頭に当てる。そして、盤を頭で覆うくらいの前傾姿勢。 *16時19分、石橋は1分将棋に入った。攻めるか受けるかの重要な分岐点だ。中井は残り41分。 99 5八歩(59) *58まで秒を読まれて、スッと5九歩を5八へ動かした。 100 6九龍(78) *底歩がずれたので自然な追撃。 *▲3八金上は△3六歩や△3九銀が来る。 * *※「いっぱい利かせたので勝ちになったかな」と中井は自信を持っていた。 101 2六桂打 *攻め合った。△4九竜は詰めろではないので▲3四桂(▲2二銀以下王手が続く形)で勝ちと読んでいる。穴熊の絶対に詰まない形を生かそうとしている。 *16時25分、1分将棋の石橋が席を外す。記者はギョッと驚く。 102 4三銀(34) 103 3四桂打 *いまは先手玉が絶対詰まない上に△4九竜も詰めろにならない。絶好のチャンスと判断してガンガン行く。 *△4九竜には▲2二銀とするのだろう。それで寄るのかどうか。駒が足りなそうにも思える。 *中井はここで熟考。残り30分を切った。 * *※▲3八金上は△3六歩が厳しい。 104 4九龍(69) *行った! *互いに引き返すことのできない局面。どちらが勝ちか。先手は△3九銀で受けなし。 105 2二銀打 *58まで読まれて着手。天を見上げているが、読み切ったのか。 * *※▲4一竜△同金▲4四銀は詰めろだが、△3一銀で後手が勝ち筋。 *▲4三銀成は詰めろではないし、▲2二金も駒が足りない。 106 同 馬(55) *どちらも踏み込んだ手順。ということはどちらかの読み筋が負けということになる。 107 同 桂成(34) 108 同 玉(11) *中井はノータイムで応じる。1分将棋の石橋には無言のプレッシャーとなる。 109 4四馬(62) *先手玉は絶対に詰まないのでどんなことでもできる。 *穴熊らしい強手。 110 同 銀(43) 111 3四桂(26) 112 3三玉(22) *中井の手がかすかに震えているように見えた。 113 4二桂成(34) *これが詰めろかどうか。 *詰めろでないなら△3九銀で先手玉は受けなしだ。中井は25分以上残している。丁寧に読む。 114 3九銀打 *ゆっくりした手つきで銀を打ち付けた。「これで大丈夫だ」という確信を持っているように感じられた。 115 4三成桂(42) *バシッとノータイム。 116 2四玉(33) 117 5七角打 *石橋は3九銀を抜いて頑張るつもり。1手稼いで▲4四成桂が詰めろになる設定を作れるか。 *中井としては慎重に見極めたい。 * *※114手目が△3九角でも▲5七角で迫るつもりだったと石橋。△5七同角成が詰めろにならないからだ。 118 4六桂打 *▲3九角△同竜のときに▲3八金打を許さない攻防手。 *石橋は「30秒」の声に「はいっ」と鋭く答える。 *△3五桂は▲3九角△同竜に▲3六銀が詰めろ逃れ詰めろの可能性が高かった。 119 3九角(57) 120 同 龍(49) *非常に際どい局面。 121 2五銀打 *▲4六歩は△4七角の攻防手を気にしたか。 *△同玉に▲2六歩から追っていくつもり。 * *※▲4六歩は△6五角で後手勝ち。 122 同 玉(24) *▲2六歩に△3四玉が冷静か。△2六同玉は▲3六金△1五玉▲1六歩△2四玉▲2五歩△3四玉▲4四成桂と上部を厚くされながら攻められてしまう。 *こうなると、最後4六桂を取られたときに先手玉を詰ますのは容易ではない。。 123 2六歩(27) 124 3四玉(25) 125 4四成桂(43) *後手玉が広いので詰みはないようだ。ただし、石橋は上部を厚くして4六桂を取ろうとしている。 126 同 玉(34) 127 4一龍(81) 128 4三銀打 129 3五銀打 *気合を込めて打ち付ける。 *単に▲4六歩は△2八竜▲同玉△2七銀▲同玉△3五桂で詰み。この▲3五銀は先手玉が上に逃げやすいようにしている。 *(1)△同玉なら▲3六金△4四玉▲4五金の筋で4六桂を外そうとしている。(2)△5五玉は▲4六銀△同歩▲3八金打で頭がクラクラしそうだ。 *中井は残り20分を切った。手に汗握る終盤戦だ。 130 5五玉(44) *△5四玉も考えられた。▲4三竜はわずかに詰まない。 131 4六銀(35) 132 同 歩(45) 133 3八金打 *穴熊らしい指し回し。 *▲4三竜も見えて、焦燥感たっぷり。 134 2七桂打 *▲同金左なら竜取りが消えるので△5二銀打のつもり。 135 同 金(28) 136 3八龍(39) 137 4三龍(41) *開き直った。竜を間接的に4七まで利かしている。 *しかし、後手の駒台は持ち駒であふれかえっている。詰みがありそうだ。4三竜に触らない攻めが良さそうだ。 *「中井先生、残り10分です」と濱田さん。じっくり詰みを読み切ろうとしている。 138 2九龍(38) *読み切った。 139 同 玉(19) *激戦を物語る盤面。歩以外の駒を数えていただきたい。 140 3八銀打 141 同 玉(29) 142 4八金打 143 同 玉(38) 144 5六桂打 *5五の玉が貴重な攻め駒となっている。▲5七玉は△6六金まで。 145 3九玉(48) 146 3八銀打 *△2九竜からノータイムで▲3九玉まで進んだ。そこで一拍おいて△3八銀が指された。 *△3八銀を見て石橋の投了となった。以下、▲同玉△4九角▲2八玉△3九角▲1九玉△2八銀▲同金△同角成▲同玉△2七金▲1九玉△2八金打までの詰み。 *終局時刻は17時6分。消費時間は石橋3時間、中井2時間54分(チェスクロック使用)。最後は5五玉が戦力となって詰み。中井が際どい勝負を制して1勝1敗のタイとした。第3局は3月下旬に行われる。 *※感想戦は18時35分ごろに終了した。じっくり1時間30分検討された。 147 投了 まで146手で後手の勝ち