# --- Kifu for Windows V6.40 棋譜ファイル --- 開始日時:2011/12/11 14:00 終了日時:2011/12/11 15:55 棋戦:第4期天河戦2回戦 持ち時間:0時間40分 消費時間:78▲40△40 場所:芝浦サロン 手合割:平手   先手:大庭美樹初段 後手:渡部愛TJP 手数----指手-- *NTTル・パルク杯第4期天河戦2回戦第2局は大庭美樹初段と渡部愛ツアー女子プロが対戦する。 *過去の対戦成績は、大庭1勝、渡部2勝。昨年の天河戦は大庭が勝っている。 *振り駒の結果、「歩」が3枚出て大庭美樹初段の先手と決まった。 * *(棋譜・コメント入力=青葉) 1 7六歩(77) *14時、対局開始。 2 3四歩(33) 3 6六歩(67) *大庭、今日は振り飛車か、それとも右玉か。 4 8四歩(83) *渡部は午前の鹿野圭生二段戦に続いて居飛車を選択。 5 7八銀(79) *大庭はすぐには態度を明らかにしない。 6 6二銀(71) 7 6七銀(78) 8 5四歩(53) 9 5六歩(57) 10 5二金(61) 11 7八金(69) *この金を上がれば居飛車の可能性は高い。しかし中飛車の余地なども残されている。 12 8五歩(84) 13 7七角(88) 14 4二玉(51) 15 4八銀(39) *▲5七銀と上がれば雁木の構え。 16 3二銀(31) *このまま左美濃か、それとも矢倉か。 17 5七銀(48) 18 3三銀(32) *矢倉の構え。△3二玉から△3一角が順路。 19 6九玉(59) 20 3二玉(42) 21 5八金(49) 22 3一角(22) *△8六歩から飛車先の歩を切る権利を得る。 23 4六歩(47) *大庭陣はまだどのようにも変化できる形。 24 4四歩(43) 25 3六歩(37) 26 4三金(52) 27 4八飛(28) *軽いゆさぶり。 28 8六歩(85) *ここで権利を行使。 29 同 歩(87) 30 同 角(31) 31 同 角(77) 32 同 飛(82) 33 8七歩打 *ここまでの消費時間は大庭4分、渡部7分。 34 8二飛(86) *渡部、一息おいて、元の位置まで飛車を引く。 35 1六歩(17) *様子を見る端歩。場合によっては▲4七金から▲5八玉と右玉にスイッチする作戦も考えられる。一般的に右玉は、角の打ち込みのスキが生じにくい。 36 1四歩(13) *穏やかに受けておく。この後、渡部側は△4二金上と組むのがよくある形か。 37 7九玉(69) *深く囲う。 38 4二金(41) *幕末の棋聖・天野宗歩の名前にちなんで、「天野矢倉」と呼ばれる形。駒が偏らないように注意して、角の打ち込みに備える。 *大庭側は▲4五歩△同歩▲同飛と動くと、△3八角や△2八角と打ち込まれるスキが生じる。 39 8八玉(79) *入城。玉頭が薄いので、守りを重視するのであれば、▲6八銀から▲7七銀と組み替えたい。 40 9四歩(93) 41 9六歩(97) 42 7四歩(73) *攻めには必要な一手。7三に銀や桂を進める道を作る。 *ここまでの消費時間は大庭14分、渡部10分。 43 2六歩(27) *突ける筋の歩はこれで全部。△2七角は▲4七金から▲3七金で大丈夫。 44 6四歩(63) *△6三銀から△7三桂の隊列を目指す。 45 2五歩(26) *▲3七桂から▲2五桂と跳ぶ余地はなくなるが、歩をじっと前に進めて間合いをはかる。 46 7三桂(81) *△6五歩の仕掛けを見せる。 47 7七桂(89) *大庭、少し時間を使った後、桂を跳ねる。ほかの手を指して△6五歩▲同歩△同桂と仕掛けられる順や、▲7七桂の後、△8五桂▲同桂△同飛と桂交換される順の先を考えたか。 *大庭の方も▲3七桂から▲4五歩と仕掛ける順を狙いたいが、▲3七桂の瞬間に△3五歩(▲同歩ならば△3六歩)が気になる。 * *※代わりに▲2八飛と待つのも有力だったか。 48 8五桂(73) *同じ駒の交換でも、その性質が攻めと守りで違えば、攻めている側に分がある。▲8五同桂△同飛の後、△2五飛の余地も生じている。 *ここまでの消費時間は、大庭23分、渡部17分。 49 同 桂(77) 50 同 飛(82) 51 4五歩(46) *大庭用意の歩突き。△4五同飛▲同飛△同歩の飛交換は▲6一飛で、飛車を先に打ち込んで攻められる。 52 同 歩(44) *渡部、穏やかに応じる。この後、できれば6二銀を4四にまで進めたい。 53 3七桂(29) *待望の活用。大庭もゆっくりとはしていられない。次に▲4五飛や、あるいは▲3五歩△同歩とはずみをつけてからの▲4五桂を狙いたい。 *対して渡部は、△4四銀と出て4五の地点を支える順などを考えているだろう。 54 4四銀(33) *前線に出て受け止める。後手陣は4筋が手厚くなった反面、2筋は薄くなった。正面突破の4筋の攻めが利かなければ、スキを衝いて動きたい。 55 4七金(58) *▲3五歩△同歩▲4五桂などと無理気味に動くのは大庭の棋風ではない。手厚い防御ラインには、手厚い攻めの形で対抗。どこかで一歩を持てば、▲4六歩と合わせて押し戻してゆける。 56 9五歩(94) *渡部、すぐに動く。 57 同 歩(96) *取る一手。 58 9七歩打 *急所。代わりに△9六歩では迫力がない。 *この△9七歩は、放っておけば△9五飛。▲9七同香ならば△9六歩▲同香△8四桂。 *大庭は残り5分を切った。渡部は残り14分。 59 7九玉(88) *9筋は面倒みきれないと見て、撤退。これは渡部がポイントを稼いだ。 *次の手は△9五飛や、△5九角から△9五角成が考えられる。 60 9五香(91) *シンプルに△9八歩成を狙う。 * *※△9五飛(▲8四角は△9二飛)、あるいは△5九角が優ったか。 61 9四角打 *香が走った後にはスキができる。大庭、反撃開始。 62 8二飛(85) 63 6一角成(94) *この馬の存在は大きい。大庭が大きく盛り返した。 64 9八歩成(97) *この歩成も大きいが、手番は大庭。 65 9四桂打 *▲4六歩からの正面攻撃ではなく、相手の攻め駒を責めるB面攻撃。自陣に対する脅威が薄れてゆくのが大きい。 * *※▲4六歩は△9七香成が早い。 66 8五飛(82) *渡部、時間を使った後、飛を逃げた。 67 6二馬(61) *この銀を取れたのは大きい。 68 8九と(98) *スピードアップ。取るか逃げるか、いずれもありそうなだけに悩ましい。 *大庭は40分を使い切って、ここから一分将棋。対して渡部は残り5分。 69 6九玉(79) *安全第一で逃げこす。 *▲8九同玉△9九香成▲同玉は、心理的に指しにくい。 * *※しかし取りきってしまう方がわかりやすかったか。 70 9九香成(95) *駒割は銀香交換。 71 8六銀打 *縦横によく利く飛を追う。 72 8一飛(85) 73 4五桂(37) *意を決して正面攻撃開始。反動も厳しいのは承知の上。△4五同銀には▲4六歩。 *対して渡部はどう指すか。△9八成香から△8八成香と寄せていくのは、確実ではあるが手数がかかる。できれば右辺から効率よく挟撃態勢を作りたい。 *渡部も40分を使い切って、ここから両者一分将棋。 74 6五歩(64) *バランスよく配置された二枚銀にはたらきかける。 75 同 歩(66) *堂々と応じる。取るか手抜くか、迷ったときには取る方がいい場合も多い。 76 9一飛(81) *桂取り。 77 9五歩打 *丁寧に指す。できれば駒は取られない方がよい。 78 9八成香(99) *方針の難しい局面。渡部は確実な順を選んだ。 79 3五歩(36) *攻めだけを考えれば大きなプラスの手。 80 6六歩打 *またもや悩ましい。銀頭をたたく歩は好手になりやすい。 81 同 銀(67) *▲同銀右は△4六歩▲同金△3七角が気になる。 82 4六歩打 *終盤は歩を惜しまず、叩きで相手陣を乱すのがポイント。 83 同 銀(57) *大庭は丁寧に応じ続ける。 84 3九角打 *攻め続ける渡部。▲6八飛は△8八成香で当たりがきつくなる。 85 6八飛(48) *大庭、飛を渡す方が危ないと見た。 86 8八成香(98) *▲8八同金△同とと進めば、寄せが見えてくる。 87 5七銀(66) *受けの好手か。 88 7八成香(88) 89 同 玉(69) *金は取られたものの、先手陣はすっきりとした。上部に逃げ越せれば、はっきりとよくなる。 90 5八金打 *鬼手。▲5八同飛には△6六桂の狙い。 91 同 飛(68) *△6六桂▲同銀△同角成に▲7七金でしのげるか。 92 6六桂打 93 同 銀(57) 94 同 角成(39) *駒割は先手の桂得。ここをしのげば楽になりそうだ。 95 5七金(47) *節約した。 * *※▲7七金△3九馬▲8九玉が優ったか。 96 8八と(89) *ともかくも、と金が使えたのは大きい。 97 6九玉(78) *渡部が攻めきるか、あるいは大庭が逃げきれるか。 98 7六馬(66) 99 3四歩(35) *このタイミングで相手玉に迫る。 100 6六香打 *いよいよ大詰め。▲6六同金△同馬から、詰めろ詰めろで迫ることができれば先手の勝ち。 101 6八香打 102 6七歩打 *痛打。 103 6六金(57) *単に▲6六同金より損をしてしまったか。 104 同 馬(76) 105 6七香(68) *なんとか一手の余裕を得たい大庭。 106 7八銀打 *確実な寄せ。▲7八同飛△同と▲同玉は△8八飛で詰み。 107 5九玉(69) 108 6七銀成(78) *ここで▲5七金は△5八成銀▲同玉△6七金▲同金△3八飛で寄り筋。 109 3八飛(58) 110 5八金打 111 同 飛(38) 112 同 成銀(67) 113 同 玉(59) 114 3八飛打 115 5九玉(58) 116 4八飛成(38) *以下は▲6九玉△6八香までの詰み。渡部が熱戦を制した。 *終了時刻は15時55分。消費時間は両者ともに40分。 *勝った渡部は準決勝で石橋幸緒四段と対戦する。 117 投了 まで116手で後手の勝ち